兵庫県の風土に適した在来品種「播州白水菜」を復活 農研機構×ファーマーズファクトリー2022年6月28日
農研機構と農業事業者のファーマーズファクトリーは、兵庫県の在来品種「播州白水菜」の復活に成功。「播州白水菜」は兵庫県で代々受け継がれてきた水菜品種で、近年は栽培されておらず発芽する種子がなかったため、途絶えかけていた。今回の種子の復活により、再び「播州白水菜」が生産可能になり、地域の食文化の継承や地域社会の発展に繋がると期待される。
復活した「播州白水菜」の苗。
左は兵庫県多可町で栽培が続けられている在来品種の「播州青水菜」。
右は今回復活に成功した在来品種「播州白水菜」
兵庫県の水菜の在来品種「播州白水菜」は、消失寸前だったが、農研機構と農業事業者のファーマーズファクトリーは、わずかに残っていた古い「播州白水菜」の種子を発芽させ、「播州白水菜」の新たな種子を得ることに成功した。
近年、在来品種の保全は日本だけでなく世界中で緊喫の課題と捉えられており、農研機構は、農業生物資源ジーンバンク事業により、日本国内在来品種の収集と保存を進めている。2021年6月に兵庫県における在来品種の保全状況を調査したところ、多可町で受け継がれてきた水菜の在来品種「播州白水菜」が消失寸前であることが明らかとなった。
多可町で兵庫県の在来品種を中心に自家採種と有機栽培での野菜作りを進めている農業事業者のファーマーズファクトリーは、「播州白水菜」を地域に継承するため、10年余り前に採種された種子を用いて栽培を試みたが、残っていた種子は活性が低下しており、畑に播いても発芽しなかった。
そこで、農研機構とファーマーズファクトリーは「播州白水菜」の古い種子を無菌環境で発芽させることに着手。種子が発芽に必要な水分を十分に吸水できるように種子の表面を溶かして滅菌後、植物の成長に必要な栄養素を含んだ寒天培地に播種することで、活性が低下した種子でも発芽できるよう環境を整えた。その結果、およそ50粒の種子の発芽に成功。成長した苗を土に移植して栽培を続け、新しい種子を採ることができた。
この成果は生物多様性の保全だけでなく、「播州白水菜」を後世に残すことで、地域の食文化の継承や地域社会の発展に繋がると期待される。今後、ファーマーズファクトリーは「播州白水菜」の栽培を続け販売を予定。また、農研機構は「播州白水菜」の種子をジーンバンクで保存する。
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