カキの受粉に野生のコマルハナバチが大きく貢献 農研機構2022年7月5日
農研機構は、島根県農業技術センター、森林総合研究所と共同で、東北地方から九州地方にわたってカキの訪花昆虫を調査し、飼養昆虫のセイヨウミツバチに加え、野生昆虫のコマルハナバチが主要な訪花昆虫であることを明らかにした。
農研機構は、生産者が利用できる「果樹・果菜類の受粉を助ける花粉媒介昆虫調査マニュアル増補改訂版」を3月に公表したが、一連の調査・研究を進める中で、全国的なカキの花粉媒介昆虫相が初めて明らかとなり、野生のハナバチ類が果たしている役割が解明された。
カキ雌花に訪花するコマルハナバチ
カキは、雄花から運ばれた花粉が雌花に受粉することで種子が形成され着果率が向上。そのためカキの栽培では着果を安定化させるために、セイヨウミツバチが花粉媒介昆虫として導入されている。カキには野生の花粉媒介昆虫も訪花することが知られていたが、その実態はこれまで明らかになっていなかった。
3者は共同で、東北地方から九州地方にわたってカキの訪花昆虫を調査。飼養昆虫のセイヨウミツバチに加え、野生昆虫のコマルハナバチが主要な訪花昆虫であることを明らかにした。
主要な甘柿の品種である「富有」の着果率は、コマルハナバチが1回でも雌花に訪花すると大幅に向上し、複数回の訪花によってさらに高まった。両種が1回の訪花でめしべに付着させる花粉数はほぼ等しいことから、「富有」の安定した着果のためには、これらのハチによる複数回の訪花が効果的であることが明らかになった。
カキの雄花(左:「禅寺丸」)と雌花(右:「富有」)
今後、マニュアルを活用して個々のカキ園における野生の花粉媒介昆虫の訪花状況を把握することで、地域単位で導入すべきセイヨウミツバチの巣箱数を適正化でき、コマルハナバチのような野生の花粉媒介昆虫を活用した省力的な栽培が可能になる。
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