自然農法をスマート化「ミズニゴール」実証実験を長野県松川町で実施 ハタケホットケ2022年7月22日
テクノロジーを通じて農業分野の若返り化をめざす株式会社ハタケホットケ(長野県塩尻市)は、重労働と環境負荷を削減する小規模農家向けロボット「ミズニゴール」を活用し、長野県松川町、(公財)自然農法国際研究開発センターと農業生産に関する実証実験を行った。
「ミズニゴール」は、全国で小規模農家が最も多く、後継者不足や耕作放棄地などの農業課題を抱える長野県で生まれた、農家の重労働と環境負荷を削減するロボット。水田をラジコン操作で走り回り、田んぼの水を濁らせることで、稲の栄養を奪う雑草の光合成を遮り除草作業を自動化する。
今回の実証実験では、自然農法センターの協力で、松川町内の田んぼにてミズニゴールを活用した有機栽培の米作りを実施。抑草・除草作業のプロセスにおいて、物理的な除草量の増加や除草効率の向上など、ミズニゴールの機能面の他、作業負担の軽減などさらなる省人化方法を検討した。
実証実験の様子
自然農法センターの研究では、有機栽培においては、稲刈り後から田植えまでの期間に適切な管理を行うことが重要で、田植え後の雑草発生や除草作業にも影響を与えることを指摘。これを受けてハタケホットケは今後、⽥んぼごとに異なる地質など様々な特性・環境に合わせた除草効果の評価・分析を進める。また、有機・⾃然農法のスマート化の普及に向けてミズニゴールの改良に取り組む。
松川町は3月に、人口流出に歯止めをかけ、地域の居住環境を確保と地方創生を進めるための総合戦略と人口ビジョンを一体化した計画『松川町地域みらい共創プラン』を策定。その一環として環境保全型農業を推進、学校給食へ地域の有機栽培農産物の提供を始めた。
松川町で有機栽培を指導する自然農法センターは、数十年に渡って自然農法の研究開発や国内外への普及、及び有機農業支援を行ってきた機関。これまで全国の農業生産者に向けた技術指導や、手間を要する自然農法の省力化方法を研究している。今回の実証実験は、3者の自然農法の普及と健康促進に向けた目的が一致したことから実現した。
今後、ハタケホットケは、2023年春に改良版のGPS型(全地球測位システム型)ソーラー駆動の全自動型ミズニゴールのリリースを予定。除草ロボットは大手企業でも開発が進んでいるが、数十万円~百万円以上するなど、小規模農家が季節利用に限られる設備投資として導入するにはハードルが高い。今回のミズニゴール1.0の実証実験ではレンタル提供( 10万円/1シーズン)を実施。今秋に予約受付を予定しているGPS搭載の2.0では、実証実験の検証や農家様のニーズに合わせて、販売・レンタルなどの提供方法を新たに検討する。
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