【特殊報】キュウリ退緑黄化病 西讃地域で発生 県内で初めて確認 香川県2022年7月22日
香川県農業試験場病害虫防除所は、キュウリ退緑黄化病(Cucurbit chlorotic yellows virus(CCYV))の発生を西讃地域で確認。香川県内では初めて確認された。これを受け、7月22日に病害虫発生予察特殊報第2号を発令した。
葉の退緑黄化症状(写真提供:香川県農業試験場病害虫防除所)
6月上旬に、西讃地域のキュウリ施設栽培ほ場で、葉に退緑・黄化症状を呈する株が確認された。同防除所で発生株をRT-PCR法により検定した結果、ウリ類退緑黄化ウイルス(CCYV)によるキュウリ退緑黄化病であることが判明した。
香川県で同病が確認されたのは初めて。同病害の特殊報は、2008年に熊本県で初めて発表され、これまでに、九州全県、中国・四国地方、関東地方等の計23府県で発生が確認されている。
特徴として発生初期は、葉にうすい緑色の小さな斑点を生じ、症状が進むと斑点が拡大して葉脈に沿った部分を残して葉全体が黄化する。黄化葉は、葉縁部が下側に巻く症状を呈する。同病害は、定植直後から収穫終了時まで発生するが、感染時期が早いほど草勢低下による減収率が上昇。また、ミナミキイロアザミウマが媒介するキュウリ黄化えそ病の初期病徴に似ている。
同ウイルスはCrinivirus 属に属し、タバココナジラミ(バイオタイプQおよびB)により、ウイルス媒介能力が数時間から数日間保持される。経卵伝染、汁液伝染、種子伝染及び土壌伝染はしないと報告されている。また、自然感染が確認された作物は、キュウリ、メロンおよびスイカ。接種試験ではウリ科、ナス科、アカザ科など広範な植物に感染することが確認されている。
同防除所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
(1)施設開口部への防虫ネット(目合い0.4ミリ以下)の展張や、黄色粘着トラップの設置などにより、 タバココナジラミ成虫の侵入防止と密度低下に努める。
(2)タバココナジラミは雑草にも生息するため、ほ場内およびその周辺雑草を除去する。
(3)同ウイルスに対する登録農薬はない。媒介虫であるタバココナジラミを対象に、定植時のネオニコチノイド系粒剤の施用や生育期間中の定期的な薬剤散布を行う。特に、定植直後の感染は大きな被害につながるため、この時期の対策を重視する。
なお、薬剤の使用にあたってはコナジラミ類に登録のある農薬を使用するとともに、薬剤感受性の低下を防止するため、同一系統薬剤の連用を避ける。
(4)発病株は伝染源となるため、見つけ次第抜き取り、ビニル袋に密閉してほ場外に持ち出すなど、適切に処分する。
(5)栽培終了後は、2週間程度施設を密閉してタバココナジラミを死滅させ、施設外への拡散を防ぐ。
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