【特殊報】ネギハモグリバエB系統 県内で初めて確認 石川県2022年8月19日
石川県農林総合研究センターは、ネギハモグリバエB系統の発生を県内で確認。これを受け、8月16日に病害虫発生予察特殊報第1号を発令した。
ネギハモグリバエ成虫(写真提供:石川県農林総合研究センター)
6月下旬に、県内複数地域の露地ネギほ場でネギハモグリバエの著しい食害が発生し、連続した食害による葉の白化が認められた。被害状況が、他都府県で発生が認められているネギハモグリバエB系統によるものと類似していたことから、成虫を採取し、農研機構野菜・花き研究部門に同定を依頼した結果、従来のA系統とは異なるB系統のネギハモグリバエであることが確認された。
B系統は京都府で初めて確認され2016年頃から被害が見られた。その後は、茨城県、富山県、千葉県、長野県、埼玉県、新潟県、栃木県、三重県、滋賀県、大阪府、愛知県、東京都、佐賀県、岐阜県、鳥取県、兵庫県、岩手県、秋田県、福島県、鹿児島県、福岡県、山形県、宮城県、大分県、青森県、山口県、島根県、愛媛県、群馬県、香川県及び奈良県の計32都府県で確認されている。
特徴として、A系統のネギハモグリバエは1葉に1~2匹が寄生し、断線状の食害痕を形成するが、B系統は連続線状に食害痕を形成する。また、B系統は、A系統と比べ1葉あたり寄生幼虫数が多く、集中的に加害する傾向。食害が進展すると、近接した食害痕がつながり、葉が面的に白化するなど、A系統より激しい被害となる。
幼虫はうじ虫状で、成長すると体長約4ミリに達する。蛹は体長約3ミリの褐色、俵状。成虫の体長は約2ミリで、胸部と腹部は黒く、その他の部分は淡黄色で、形態によるA系統とB系統との識別は困難。両系統とも成虫は葉の組織内に産卵し、ふ化した幼虫は葉の内部に潜り込んで葉肉を食害する。幼虫は成長すると葉から脱出し、地表または土中で蛹になる。
B系統による食害痕(左)・食害により白化した被害葉(写真提供:石川県農林総合研究センター)
同センターでは次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇現在のところ、A系統とB系統とで殺虫剤感受性に差は見られていない。「ネギハモグリバエ」や「ハモグリバエ類」に登録のある薬剤を用いて、従来と同様の防除を実施する。
〇定植時には育苗トレイかん注または粒剤を施用する。多発生すると被害が激しくなることから、発生初期の防除を徹底する。
〇被害株や残さは発生源になるので、土中に深く埋めるか、ほ場から持ち出し適正に処分する。
〇抵抗性害虫出現防止のため、同一系統薬剤(IRACコードが同じ剤)の連用は避ける。
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