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【特殊報】トマトキバガ 県内で初めて発生を確認 山口県2022年8月26日

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山口県病害虫防除所は、トマトキバガ(学名:Tuta absoluta(Meyrick))の誘殺を県内で初めて確認。これを受けて8月26日、病害虫発生予察特殊報第1号を発令した。

トマトキバガ幼虫による食害(葉)(写真提供:熊本県病害虫防除所)トマトキバガ幼虫による食害(葉)(写真提供:熊本県病害虫防除所)

同防除所は8月8日、山口県内に設置したトラップに誘殺されたガの成虫を確認したところ、トマトキバガと疑われたため、神戸植物防疫所に同定を依頼。その結果、県内では発生が確認されていなかったトマトキバガ(Tuta absoluta(Meyrick))であることが判明した。現在、県内の農作物における同種の発生および被害は認められていない。

トマトキバガ幼虫による食害(果実)(写真提供:熊本県病害虫防除所)トマトキバガ幼虫による食害(果実)(写真提供:熊本県病害虫防除所)

同種は南アメリカ原産だが、2006年にスペインへの侵入が確認され、ヨーロッパ、アフリカ、中央アメリカ、西アジア、アラビア半島、インド、ネパール、東南アジアに分布を拡大。2021年5月までに、台湾、中国、中央アジア諸国などでも発生が確認されている。

国内では、2021年10月に熊本県で初めて確認され、同年12月には宮崎県でも確認された。また、今年3月以降は、鹿児島県、大分県、福岡県、長崎県、愛媛県、和歌山県、岡山県の侵入警戒トラップで同種が誘殺されており、特殊報を発表。寄主植物は、トマト、ナス、タバコ、バレイショなどのナス科植物の他、マメ科のインゲンマメが確認されている。

被害の状況として、トマトでは、葉の内部に幼虫が潜り込んで食害。食害部分は表面のみ残して薄皮状になり、白~褐変した外観となる。また、果実に幼虫が穿孔侵入して内部組織を食害するため、果実表面に数ミリ程度の穿孔痕が生じるとともに、食害部分の腐敗が生じ、果実品質が著しく低下する。海外では、フランスでバレイショ塊茎への直接加害も報告されている。

食害中の幼虫(果実)(写真提供:熊本県病害虫防除所)食害中の幼虫(果実)(写真提供:熊本県病害虫防除所)

幼虫は終齢で体長約8ミリに達する。体色は淡緑色~淡赤白色で、前胸の背面後方に狭い黒色横帯を有する。成虫は翅を閉じた静止時で体長5~7ミリ、前翅は灰褐色で黒色斑が散在する。後翅は一様に淡黒褐色。

生態としては、1年に複数回の世代が発生し、繁殖力が高く、発生世代数は環境条件によって異なる。卵から成虫になるまでの期間は 24~38日程度で、気温が低い時期はさらに期間が延びる。また、発育下限温度は8℃と推定されている。

トマトキバガ成虫(写真提供:山口県病害虫防除所)

幼虫は1齢から4齢までの生育ステージがあり、土中や茎葉の内部及び外部で蛹化する。成虫は夜行性で、日中は葉の間に隠れていることが多い。雌は一生のうちに平均で約260個の卵を寄主植物の葉の裏面などに産み付ける。

同防除所では次のとおり防除対策を呼びかけている。

〇ほ場内をよく見回り、被害葉や被害果はほ場内から持ち出すとともに、放置せず、速やかに適切に処分する。

〇現在、トマトキバガに対する登録農薬はないが、植物防疫法第29条第1項に基づく措置として、別紙に記載された農薬による防除を行う。なお、薬剤防除にあたっては、薬剤抵抗性発達防止のため、異なる系統の薬剤によるローテーション散布を行う。

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