ロボティクス人工気象室の運用開始 栽培環境の再現と作物性能の推定を超精密に 農研機構2022年9月5日
農研機構は、栽培環境を精密に制御し、作物の環境応答を精密に解析できる、ロボティクス人工気象室を構築。これをスーパーコンピューター「紫峰」と連動した研究基盤として、このほど運用を始めた。作物の栽培環境データと画像等の形質データをAI解析することで、任意の環境における作物の性能を精密に推定することが可能になる。
「栽培環境エミュレータ」と「ロボット計測装置」の特徴
農研機構はこのほど、作物の栽培環境を精密に再現あるいは模擬できる人工気象室「栽培環境エミュレータ」に、大きさや色などの作物形質を連続で取得可能な「ロボット計測装置」を内蔵した「ロボティクス人工気象室」を開発。それらをネットワークなどの情報インフラと一体化した研究基盤の運用を開始した。この研究基盤により、任意の環境下における作物の性能(収穫時期、生育量、品質等)を精密に推定し、適切な栽培法や育種に関する情報を得ることが可能となる。
「ロボティクス人工気象室」と「紫峰」が連動した研究基盤の全体像
栽培環境エミュレータとロボット計測装置という2種の装置を組み合わせることで、人工気象室を開閉することなく、経時的に取得された画像およびセンシング情報を解析し、作物形質を連続的に計測できる。作物が栽培環境に反応し形質を変化させる環境応答を解析。任意の環境における作物の性能(収穫時期、収量、品質等)を精密に推定し、適切な栽培方法や品種育成に関する情報を得られるようになる。
ロボティクス人工気象室とスーパーコンピューター「紫峰」がネットワーク接続で連動することで、作物環境応答データを利用した深層学習(AI解析)による解析だけでなく、「農研機構統合DB」4)に含まれるゲノム情報、成分等の様々な農業データを用いた統合的な解析が可能となる。また、情報セキュリティ対策を講じた安全性の高いアクセス環境を導入することにより、民間企業、大学、公設試験研究機関、JA、産地等の外部機関からもこれらの解析を遠隔で行える。
同研究基盤は、気候変動対策など課題解決に取り組むため、様々な環境条件下の作物を対象とした技術開発の加速化と解析環境の遠隔化を実現したシステム。この研究基盤は、農研機構で最先端の研究を行えると同時に、民間企業等の外部機関との共同研究のための基盤として利用できる。
重要な記事
最新の記事
-
米農家(個人経営体)の「時給」63円 23年、農業経営統計調査(確報)から試算 所得補償の必要性示唆2025年4月2日
-
移植水稲の初期病害虫防除 IPM防除核に環境に優しく(1)【サステナ防除のすすめ2025】2025年4月2日
-
移植水稲の初期病害虫防除 IPM防除核に環境に優しく(2)【サステナ防除のすすめ2025】2025年4月2日
-
変革恐れずチャレンジを JA共済連入会式2025年4月2日
-
「令和の百姓一揆」と「正念場」【小松泰信・地方の眼力】2025年4月2日
-
JAみやざき 中央会、信連、経済連を統合 4月1日2025年4月2日
-
サステナブルな取組を発信「第2回みどり戦略学生チャレンジ」参加登録開始 農水省2025年4月2日
-
JA全農×不二家「ニッポンエール パレッティエ(レモンタルト)」新発売2025年4月2日
-
姿かたちは美しく味はピカイチ 砂地のやわらかさがおいしさの秘密 JAあいち中央2025年4月2日
-
県産コシヒカリとわかめ使った「非常時持出米」 防災備蓄はもちろん、キャンプやピクニックにも JAみえきた2025年4月2日
-
霊峰・早池峰の恵みが熟成 ワイン「五月長根」は神秘の味わい JA全農いわて2025年4月2日
-
JA農業機械大展示会 6月27、28日にツインメッセ静岡で開催 静岡県下農業協同組合と静岡県経済農業協同組合連合会2025年4月2日
-
【役員人事】農林中金全共連アセットマネジメント(4月1日付)2025年4月2日
-
【人事異動】JA全中(4月1日付)2025年4月2日
-
【スマート農業の風】(13)ロボット農機の運用は農業を救えるのか2025年4月2日
-
外食市場調査2月度 市場規模は2939億円 2か月連続で9割台に回復2025年4月2日
-
JAグループによる起業家育成プログラム「GROW&BLOOM」第2期募集開始 あぐラボ2025年4月2日
-
「八百結びの作物」が「マタニティフード認定」取得 壌結合同会社2025年4月2日
-
全国産直食材アワードを発表 消費者の高評価を受けた生産者を選出 「産直アウル」2025年4月2日
-
九州農業ウィーク(ジェイアグリ九州)5月28~30日に開催 RXジャパン2025年4月2日