メロンの網目の品質を認識 等級判定AIの研究開発に成功 静岡大学2022年9月21日
静岡大学は9月20日、大和コンピューター(大阪府高槻市)との農知創造研究に関する共同研究で、温室メロンの網目の品質を認識できる等級判定AI(人工知能)の研究開発に成功したことを発表した。
メロンの等級判定の例
国内では贈答用などに用いられる温室メロンは、大きさや糖度など品質に加え、果実の形状が整っていることや網目の色合い、網目形状の均一さなどの外観の品質も重要視されている。外観の品質判断は熟練生産者が目視確認で行っているが、判定作業には多くの時間を要することや、生産者ごとに判断基準がバラつくため等級付けの一貫性が保たれないことが課題となっていた。
大和コンピューターと静岡大学の峰野研究室は、一般的なRGBカメラで取得したメロン表皮の360°全周映像データからメロン表皮の全周を表した網目画像と輪郭画像を生成。等級判定に寄与した部位を表現するActivation Mapと深層距離学習によって網目の品質を定量化(ベクトル化)することで、熟練生産者の等級判定を約82%で再現する等級判定AIを開発した。
AIが学習するメロン全周画像
この技術を用いて、熟練生産者の等級判断の根拠となった網目の部位の可視化や、等級ごとの類似度をレーダーチャートで表示でき、熟練生産者の見立てでも妥当(約98%)であるという基礎実験結果を得た(特許出願中)。
同技術は、温室メロンだけでなく、外観の品質判定が重要な農産物や工業製品に展開することが可能。今後、開発した等級判定AIを活用することで、一貫性を持った等級判定と出荷作業の効率化を図る。また、生産者の負荷軽減や新規就農者への等級判定技術の継承につなげる。
AIによる等級判定度合いをレーダーチャートで表現
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