【特殊報】ネギハモグリバエB系統 県内で初めて確認 広島県2022年9月28日
広島県西部農業技術指導所は、ネギハモグリバエB系統(LiriomyzachinensisKato)の発生を県内で初めて確認。これを受けて、9月27日に病害虫発生予察特殊報第3号を発令した。
ネギハモグリバエの幼虫(写真提供:広島県西部農業技術指導所)
8月に、広島県内の露地ねぎ栽培で、ネギハモグリバエの著しい食害が発生。ほ場内のほぼ全ての株で葉の白化が発生した。被害状況が、他都府県で発生が認められているネギハモグリバエB系統によるものと類似していたことから、採取した幼虫を飼育し、羽化させた成虫を農研機構の野菜・花き研究部門に同定を依頼したところ、同県で未発生のネギハモグリバエB系統と同定された。
葉肉から脱出した蛹(写真提供:広島県西部農業技術指導所)
この害虫は、2016年に京都府で初めて確認されて以降、現在まで35都府県が発生を報告。中国地方では鳥取県、山口県、島根県および岡山県で発生が確認されている。
ねぎ葉上の成虫(写真提供:広島県西部農業技術指導所)
幼虫はうじ虫状で、成長すると約4ミリに達する。蛹は約3ミリで褐色、俵型。成虫は約2ミリで胸部と腹部は黒く、その他の部分は淡黄色。外部形態によるA系統との識別は難しい。
両系統ともに、成虫は葉の組織内に産卵し、ふ化した幼虫は葉の内部に潜り込んで葉肉を食害する。成長すると葉から脱出し、地表または土中で蛹になる。
B系統はA系統と比べ、1葉あたり寄生幼虫数が多く、集中的に葉肉を食害するため、連続的に食害痕が形成される。加害が進むと近接した食害痕が混ざり合い、葉が白化する。A系統と比較すると、より激しい被害となる。
B系統の食害により白化したねぎ(写真提供:広島県西部農業技術指導所)
同指導所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇被害葉および収穫終了後の茎葉は発生源となるため、土中に埋設するかビニール等で被覆するなどし、適正に処分する。
〇同種の防除には、ネギハモグリバエまたはハモグリバエ類に登録のある薬剤を使用する。
〇定植時には、育苗トレイかん注、または粒剤を施用する。
〇薬剤によっては中老齢幼虫に対する効果が劣る場合があるため、若齢期の薬剤防除に努める。
〇多発すると防除が困難になることから、発生初期の防除を徹底する。
〇抵抗性害虫出現防止のため、同一系統薬剤(IRACコードが同じ剤)の連用は避ける。
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