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植物の隠れた能力を見える化 栽培計測プラットフォームを構築 農研機構2022年10月7日

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農研機構を中心とする研究グループは、屋内環境下で植物の栽培管理や画像や環境情報を自動で取得できる栽培計測プラットフォーム「iPUPIL(あいぴゅーぴる)」を構築した。屋内の人工気象室で干ばつなどの極端な栽培環境を再現し、植物の様子を天井に設置した複数のカメラにより遠隔地から観察でき、ストレス応答など、わずかな植物の変化を可視化・記録できる。野生植物の持つこれまで見つかっていなかったストレス耐性遺伝子などの発見が可能であり、将来の劣悪な地球環境を想定した作物開発などへの活用が期待できる。

栽培計測プラットフォーム「iPUPIL」のイメージ栽培計測プラットフォーム「iPUPIL」のイメージ

近年、地球規模の環境変化により、干ばつや土壌の荒廃が世界中の農地で起こっている。国内でも、降雨の極端化現象をはじめ、近年の肥料価格の高騰など、農業を取り巻く自然環境や経済状況は大きく変化しており、これらの変化に迅速に対応できる品種開発(育種)が求められている。

「iPUPIL」は、季節を問わず、屋内の人工気象室で任意の気象・環境条件を再現し、収穫までの作物生育の様子を室内の天井に設置した可動式のカメラ制御システムにより無人で観察できる。また、人工気象室内に設置した個々のポットは、栽培制御システムにより目的に沿った土壌環境(水や肥料条件)を再現。ポットごとに照度や温湿度、土壌水分含量、地温などの局所環境データを計測できる。

栽培や撮影条件を設定すると自動管理・遠隔操作ができることから、栽培管理や計測のたびに担当者が扉を開閉する必要がないため、環境の変化がほとんどなく、より正確な植物の生長データを取得できる。

また、干ばつや冠水被害に強い品種や少ない肥料でよく育つ品種など、将来の不良環境に適応した品種を評価する栽培環境を提供。iPUPILはゲノム編集技術などの新しい育種技術を活用した品種開発を加速できると期待される。

同プラットフォームは、ムーンショット型農林水産研究開発事業「サイバーフィジカルシステムを利用した作物強靭化による食料リスクゼロの実現」の支援を受け、未利用遺伝資源の発掘やサイバーフィジカルシステムを活用した作物デザイン技術の構築をサポートするために設計・開発された。研究用のプロトタイプで、製品化は未定。今後、他の研究者や民間企業が広く利用できるよう、改良を重ね製品化を検討する。

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