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【特殊報】カンキツにトビイロシワアリ 県内で確認 長崎県2022年10月20日

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長崎県病害虫防除所は、カンキツにトビイロシワアリの被害を確認。これを受けて、10月19日に病害虫発生予察特殊報第3号を発令した。

成虫(働きアリ体長2.5mm)(写真提供:長崎県病害虫防除所)成虫(働きアリ体長2.5mm)(写真提供:長崎県病害虫防除所)

8月下旬に佐世保市のカンキツ幼木園の枯死および樹勢低下した樹で、地際部および根部表皮の剥離、せん孔などの症状が見られ、これらの症状が発生している樹に共通してアリ類の発生が認められた。アリ類の形態と樹体の症状から、2017年に静岡県が特殊報を発表したトビイロシワアリおよび同種による加害の疑いがあると考えられた。

捕獲虫は、形態的特徴からトビイロシワアリと推定されたため、門司植物防疫所長崎出張所へ同定を依頼した結果、トビイロシワアリであることが判明した。

苗木と若木において、主幹地際部に土を盛り営巣し、樹体表皮を食害、くぼんだ食害痕やせん孔痕を形成。被害が進むと外皮が帯状に削り取られた食害痕となる。根部の被害の場合、表皮が腐敗・剥離する。甚だしい食害を受けた樹は、落葉し、枯死する場合がある。

国内では2017年に静岡県でカンキツへの被害が報告されており、その他にアブラナ科野菜、ナス、トマト、芝等で同種の被害が報告されている。長崎県でも、2010年にばれいしょの被害について特殊報を発表している。

国内では北海道、本州、四国、九州、対馬、屋久島に分布。西南日本では普通にみられ、海外では中国、極東ロシアに分布する。働きアリの体長は2.5ミリ前後で、体色は褐色から黒褐色。頭部の表面はほぼ平行に縦走する顕著な皺に覆われ、胸部は弱い網目状の皺が縦走する。また、フタフシアリ亜科の特徴である2節の腹柄がみられる。

比較的乾燥した場所を好み、日当たりの良い裸地や植物の根元、石下などに営巣する。巣の規模は大きく、一つの巣に多数の女王を有する。雑食性で、昆虫、雑草の子実や発芽直後の芽、植物の甘露、樹液などを摂食する。

同防除所では次のとおり防除対策を呼びかけている。

〇10月現在、同種に対する登録農薬はない。

〇深耕やかん水による巣の破壊など、物理的・耕種的防除に努める。

〇深植により接ぎ木部が土中にある場合は、土を掘り、接ぎ木部を露出させる。

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