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【特殊報】キュウリにクロテンコナカイガラムシ 県内で初めて確認 宮崎県2022年10月20日

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宮崎県病害虫防除・肥料検査センターは、キュウリにクロテンコナカイガラムシ(Phenacoccus solenopsis (Tinsley))の被害を県内で初めて確認。これを受けて、10月19日に病害虫発生予察特殊報第1号を発令した。

雌成虫(写真提供:病害虫防除・肥料検査センター)雌成虫(写真提供:病害虫防除・肥料検査センター)

9月に、県央部の施設栽培夏秋キュウリほ場で、コナカイガラムシ類の発生が認められた。農林水産省門司植物防疫所による同定の結果、宮崎県では未確認のクロテンコナカイガラムシであることが判明した。

国内では、2009年に沖縄県(スイゼンジナ、ヒマワリ)で初めて発生が確認された。その後、佐賀県(ナス)、福岡県(ミニトマト、ナス)、愛知県(食用トレニア、食用キンギョソウ)、山口県(トマト)、高知県(ナス)、鹿児島県(ミニトマト)、大阪府(ナ
ス)、奈良県(ホウレンソウ)、長崎県(ナス)、京都府(トマト)、愛媛県(ナス)、岡山県(ナス)、兵庫県(トマト、ナス、オクラ、キク)、滋賀県(トマト、ナス、ピーマン)で発生が確認されている。

形態としては、雌成虫は翅がなく、体型は楕円形で、体長は通常3~4ミリ程度。大きい個体は5ミリを超える。背面に白色のロウ物質を分泌するため、全体としては白く見えるが、背面の前方と後方にそれぞれ1対の明瞭な黒斑(縦線)が見られる。

繁殖様式は、交尾後産卵する有性生殖と、雌成虫が交尾しない単為生殖の両方が知られている。卵の多くは雌成虫の体内でふ化し、1齢幼虫は歩行により分散する。雄は2齢幼虫の終わりにまゆを作り、前蛹、蛹を経て羽化し、1対の翅を持つ成虫となる。雌は2齢、3齢幼虫を経て成虫となる。成虫は、ワタ状のロウ物質の卵のう内に350個程度産卵する。同種の単為生殖個体群における1世代の発育期間は70日程度。

キュウリ幼果に寄生する雌成虫(写真提供:病害虫防除・肥料検査センター))キュウリ幼果に寄生する雌成虫(写真提供:病害虫防除・肥料検査センター))

葉、葉柄、茎、花芽及び果実に寄生。この虫により分泌された甘露によりすす病が発生するほか、吸汁によって葉が委縮し、衰弱する症状も報告されている。

広食性で、海外ではワタ、オクラ、トマト、ナス、キュウリ等、64科212種の植物への寄生が確認されている。キュウリハウス周辺のヒユ科、トウダイグサ科雑草にも寄生を確認した。

同センターでは次のとおり防除対策を呼びかけている。

〇10月1日現在、キュウリにおける同種に対する登録農薬はない。

〇寄生された植物やその残渣を放置すると、近隣の作物や雑草に本種が移動し、繁殖する可能性がある。周辺への発生拡大を防ぐため、本種の発生を確認した場合は速やかに寄生部位を除去し、ほ場外に持ち出して適切に処分する。

〇寄主植物が広範囲にわたり、雑草にも寄生するため、施設内及び施設周辺の雑草を除去する。

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