【特殊報】かんしょに「アリモドキゾウムシ」 県内で初めて確認 静岡県2022年11月4日
静岡県病害虫防除所は、かんしょにアリモドキゾウムシの被害を西部地域で確認。これを受けて、11月2日に病害虫発生予察特殊報第1号を発令した。
アリモドキゾウムシ成虫(背面)(写真提供:静岡県病害虫防除所)
10月下旬、静岡県西部地域のかんしょの販売店で、購入者から内部が黒変した被害イモと、寄生していた害虫について問合せがあった。農林水産省名古屋植物防疫所清水支所に同定を依頼した結果、アリモドキゾウムシ(Cylas formicarius)と同定された。現在、名古屋植物防疫所と連携し、発生状況を調査している。
同種は、東南アジア、アフリカ、北アメリカ、中南米、オーストラリア等に分布。国内ではトカラ列島、奄美諸島、沖縄諸島、小笠原諸島で発生が確認されている。
かんしょなどのサツマイモ属植物のほか、アサガオ属植物およびヒルガオ属植物の生茎葉および生塊根等の地下部を加害する。
成虫は体長約6.5ミリ、幅約2.0ミリ、全体に金属光沢があり、一見アリに似た害虫。頭部は突き出し、前胸は小さくくびれている。口吻と翅鞘及びその腹面は黒藍色。胸部と脚は赤褐色、触角は黄褐色。幼虫は成熟すると約6.0ミリ。細長く、乳白色で弧状に湾曲し、多数のしわがある。頭部は淡黄褐色。蛹は乳白色。成虫の寿命は平均4か月、その間に雌は平均65個産卵し、幼虫は食害した孔道内で蛹化する。
幼虫が、塊根(いも)内に食入し孔道を作る。被害がひどいと塊根内部全体が孔道になり、黒変して悪臭や苦みが発生。食用や飼料としての利用ができなくなる。また、幼虫は地際近くの主茎にも食入する。成虫も葉や塊根表面を食害するが、被害の主体は幼虫。被害のみられる時期は6~11月。人への危害は報告されていない。
同防除所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇かんしょ栽培ほ場または残渣で同種の発生が確認された場合は、ほ場やその周辺に放置せず、ビニール袋などで密閉し、速やかに静岡県農業局食と農の振興課、静岡県病害虫防除所、最寄りの農林事務所まで連絡を。
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