【特殊報】サツマイモ基腐病 県内で初めて確認 和歌山県2022年11月21日
和歌山県農作物病害虫防除所は、サツマイモ基腐病の発生を県内で初めて確認。これを受けて、11月21日に病害虫発生予察特殊報第2号を発令した。
地際部の黒変(写真提供:和歌山県農作物病害虫防除所)
10月に串本町のサツマイモ栽培ほ場で、茎の地際部が黒色に変色し、塊根の成り首側が腐敗した株が確認された。株を採取して農林水産省神戸植物防疫所に診断を依頼したところ、和歌山県で未発生の基腐病だった。
国内で同病は、2018年に沖縄県で初めて発生が確認された。現在、28都道府県で発生が確認されており、近隣では、大阪府、兵庫県、徳島県で確認されている。
発病すると葉が赤変、黄変し生育不良となり、茎は地際部から、暗褐色~黒色に 変色。その後、茎葉の枯死や塊根の成り首側の腐敗が生じ、腐敗は次第に塊根全体に広がる。収穫時には健全に見えた塊根が貯蔵中に腐敗することもある。
塊根の断面(左が成り首側)(写真提供:和歌山県農作物病害虫防除所)
発病株では、表層に微少な黒点粒状の柄子殻が形成され、柄子殻から漏出した胞子は、風雨やほ場の停滞水によって周辺株に広がって感染し、罹病したつるや塊根で伝搬する。また、植物残さ上で越冬し、翌年の伝染源となる。
地際部の茎に生じた柄子殻(写真提供:和歌山県農作物病害虫防除所)
本ぽで茎葉が繁茂する時期は株の異常に気付きにくいため 、収穫時期が近づき、茎葉の生育が衰える頃になって枯れ上がったように見える場合が多い 。この菌の宿主はヒルガオ科植物(サツマイモを含む)。
同防除所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇同病の未発生ほ場で生産された健全種苗を使用する。
〇未消毒の苗を使う場合は、適用のある農薬で消毒する。
〇発病株(茎葉や塊根)は速やかに抜き取り、適切に処分する。その後、周辺株への 感染予防のため登録農薬を散布するとともに、以降も新たな発病株がないか注意する。また、収穫後の残さはほ場から持ち出し、適切に処分する。
〇発生ほ場では、次作の植付前に土壌消毒を行う。
〇発生ほ場で使用した農機具や資材は、洗浄や消毒を十分に行う。
〇排水不良なほ場で発生しやすいため、排水対策を十分に行う。
〇多発ほ場ではサツマイモの連作を避け、ヒルガオ科植物以外の作物を栽培する。
〇詳細は、農研機構生研支援センターイノベーション創出強化研究推進事業(01020C)のマニュアル「サツマイモ基腐病の発生生態と防除対策」を参照する。
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