「雪踏み」で小麦の病害発生を軽減 雪腐病の環境保全型防除技術 農研機構2022年12月6日
農研機構は、冬期圧雪作業(通称:雪踏み)により、秋まき小麦の畑で積雪時に生じる雪腐病が減ることを明らかにした。雪腐病は雪の下の地表の温度が0℃前後になると発生しやすくなるが、「雪踏み」によって温度が下がることで0℃前後の期間が短くなり、雪腐病の発生が減る。同成果は、農薬に依存しない環境保全型病害防除技術として小麦生産の安定化に役立つ。
農業用のタイヤローラーを用いた雪踏み試験の様子
作物が長期間にわたって積雪下におかれる地域では、小麦や大麦、牧草で春の雪解け時に葉が腐り、その後の生育の遅れや植物の枯死に繋がる雪腐病の発生が問題となっている。雪腐病は、複数の病原菌が関与し、雪の下で弱った葉に菌が感染することで発生する。
雪腐病菌は、他の微生物との競争を避けた低温で活動しており、0℃前後が小麦に対して活動しやすい温度。作物を覆っている積雪層は多くの空気を含み、布団のように断熱効果があることから、外が寒くても雪の下の地表の温度は0℃前後に保たれ、雪腐病にかかりやすい環境になっている。
農研機構は、2016年から秋まき小麦の畑で雪腐病の発生調査と対策を研究してきた。その結果、積雪後に雪を農業用のタイヤローラー等により鎮圧する圧雪作業「雪踏み」を行い積雪層の空気を抜くと、地表の温度が冷たい外気の温度に近づき、0℃前後の期間が短くなるため、雪腐病の発生が減ることが明らかになった。雪腐病の発生が大きく増えるには、温度が0℃前後になる期間が一定以上必要な点は共通していることから、雪踏みは複数の種類の雪腐病への対策になると考えられる。
雪腐病を防ぐには従来から農薬散布が行われているが、同成果から「雪踏み」に雪腐病を減らす効果があることが新たに分かった。環境と調和のとれた持続可能な防除技術となることが期待される。
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