【特殊報】いちごにチバクロバネキノコバエ 府内で初めて確認 大阪府2023年1月23日
大阪府病害虫防除グループは、いちごにチバクロバネキノコバエの被害を南河内地域で確認。これを受けて、1月19日に病害虫発生予察特殊報第3号を発令した。
2022年12月、南河内地域のいちご栽培ほ場で生育不良株があり、クラウンの地下部分を確認したところ、ハエ目とみられる幼虫が表面部分を食害していた。
いちごのクラウンを加害するチバクロバネキノコバエ幼虫(写真提供:大阪府病害虫防除グループ)
被害株から幼虫を採取し羽化させて、農林水産省神戸植物防疫所に同定依頼したところ、チバクロバネキノコバエであると確認された。1月現在、いちごでは三重県、長野県、長崎県、佐賀県、茨城県、鹿児島県、福島県、秋田県、東京都において、同虫の被害が報告されている。大阪府のいちご栽培において、チバクロバネキノコバエの被害が確認されたのは今回が初めて。
同種はハエ目クロバネキノコバエ科の昆虫で、体長は雌成虫が1.9~2.3ミリ、雄成虫が1.8~2.1ミリで、頭部は黒色、胸部と腹部は暗褐色、翅は褐色を帯びた透明。老齢幼虫の体長は約4ミリで、頭部は光沢のある黒色、体は白色を帯びた透明。従来、チビクロバネキノコバエ(B.agrestis)とチバクロバネキノコバエ(B.difformis)は別種とされていたが、最近の分類学的研究により、Bradysiaimpatiens(Johannsen)(和名:チバクロバネキノコバエ)に整理され、同一種とされるようになった。
いちご生育不良株(写真提供:大阪府病害虫防除グループ)
野外では、成虫が雑草の枯れ葉や古株、農作物の残渣、古いキノコ類などの未熟な有機物に産卵。幼虫はそれを食べて発育し、大量に発生した場合、幼虫の一部は植物の地下部や地際部を加害する。卵~成虫までの発育期間は、20℃で約25日、25℃で約21日。ハウス内では周年発生する。
寄主範囲は広く、いちごの他に、きゅうり、メロン、ねぎ、ゆり、さといも、しょうが、トルコギキョウ、りんどうなどでも被害が確認されている。いちごでは、幼虫により根やクラウン部が食害され、株の萎凋、新芽の伸長抑制など生育不良があらわれる。また、花托が幼虫に食害されて果実の肥大が抑制される。
同グループでは次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇未熟な堆肥は成虫を誘引するため、完熟堆肥を施用する。また、有機物を含む資材(有機質肥料等)を施用する場合は、十分に土壌混和する。
〇ハウス開口部に寒冷紗や防虫ネット(目合い1ミリ以下)を張り、成虫の侵入を防ぐ。
〇ほ場内及び周辺の除草を徹底する。
〇摘除した茎葉や古株などの残さは放置せず、ほ場外に持ち出し適切に処分する。
〇株元が過湿にならないよう、水管理を適切に行うとともに、古葉かきを早めに行う。
〇株上に黄色粘着板を設置し、成虫を捕殺する。
〇生育不良の株が認められた場合は根やクラウン部での幼虫の発生を確認し、発生がみられる場合は登録農薬を散布する。その際は、幼虫が生息する株元にも十分に薬液がかかるよう株全体に丁寧に散布する。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(119) -改正食料・農業・農村基本法(5)-2024年11月23日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践 (36) 【防除学習帖】第275回2024年11月23日
-
農薬の正しい使い方(9)【今さら聞けない営農情報】第275回2024年11月23日
-
コメ作りを担うイタリア女性【イタリア通信】2024年11月23日
-
新しい内閣に期待する【原田 康・目明き千人】2024年11月23日
-
基本法施行後初の予算増確保へ JAグループ基本農政確立全国大会に4000人 生産者から切実な訴え2024年11月22日
-
「適正な価格形成」国関与で実効的に JA群馬中央会・林会長の意見表明 基本農政確立全国大会2024年11月22日
-
JAグループ重点要望実現に全力 森山自民党幹事長が表明 基本農政確立全国大会2024年11月22日
-
農林水産省 エン・ジャパンで「総合職」の公募開始2024年11月22日
-
鳥インフル 米モンタナ州、ワシントン州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年11月22日
-
鳥インフル オランダからの生きた家きん等 輸入を一時停止 農水省2024年11月22日
-
11月29日「ノウフクの日」に制定 全国でイベント開催 農水省2024年11月22日
-
(411)「豚ホテル」の異なるベクトル【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年11月22日
-
名産品のキャベツを身近に「キャベツ狩り選手権」開催 JA遠州中央2024年11月22日
-
無人で水田抑草「アイガモロボ」NEWGREENと資本業務提携 JA三井リース2024年11月22日
-
みのるダイニング名古屋店開業2周年「松阪牛ステーキ定食」特別価格で提供 JA全農2024年11月22日
-
【スマート農業の風】農業アプリと地図データと筆ポリゴン・eMAFF農地ナビ2024年11月22日
-
自動運転とコスト【消費者の目・花ちゃん】2024年11月22日
-
イチゴ優良苗の大量培養技術 埼玉農業大賞「革新的農業技術部門」で大賞受賞 第一実業2024年11月22日
-
「AGRIST Aiサミット 2024」産官学金オープンイノベーションで開催2024年11月22日