安価で迅速な土壌診断を開発「作物生産と土づくり」で発表 土壌診断用バイオセンサー研究会2023年3月9日
土壌診断用バイオセンサー研究会(佐賀県伊万里市)は、バイオセンサーにより、畑の土の微生物が病原菌の侵入を抑え込む力(抑止力)を判定するシステムを実用化。微生物を酸素電極の先端に固定化し、河川水の汚れを20分で計測できるBODセンサーを応用することで、安価で迅速な土壌診断が可能となった。
持続可能な食糧生産のため農林水産省は、「みどりの食糧システム戦略」で、化学農薬・化学肥料の削減と有機農業の大幅拡大を目標としている。土づくりの重要性が再認識されるとともに、「生物性診断」に注目が集まっており、同社への問い合わせも急速に増えている。
生物性診断技術は、BIOLOG法、PCR法、LAMP法、次世代シークエンス法、SOFIX法、eDNA解析など様々な手法が提案されてきたが、価格や分析速度の面で実用的な普及技術とすることは難しく、その多くは研究機関や公的機関の利用が中心となっている。
微生物を酸素電極の先端に固定化するだけで、河川水の汚れを20分で計測できるBODセンサーの技術を、土壌診断に応用することで、安価で迅速な検査が可能となった。
土壌診断は、化学性・物理性・生物性の3つに分かれており、化学性診断は、肥料会社や販売店などが肥料の販売目的で活用している。物理性診断は、透水性・排水性の課題解決のために土木工事業者が活用しているが、土壌微生物の数と種類が膨大で検査に時間とお金がかかり、活用事例は少ない。
安価で迅速な実用的な診断技術が求められる中、同社は土を採取し、袋に入れて申込書と一緒に送るだけで、1点3000円で1週間以内に診断結果を届けるサービスを提供する。また、日本土壌協会が3月10日に発行する「作物生産と土づくり」で、「バイオセンサーを用いた土の生物性診断」として実施した試験結果の発表を予定している。
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