アグリ王×アクポニ アクアポニックスによる「イチゴ栽培」実証実験開始2023年4月5日
アクアポニックス専門企業のアクポニと、農福連携など誰もが働きやすい環境を提供するため、植物工場事業に取り組むアグリ王は、循環型農業「アクアポニックス」によるイチゴ栽培の共同実証実験を3月から開始した。同実験は横浜市港北区に新設した完全閉鎖型の試験農場で実施。完全閉鎖型のアクアポニックス農場でのイチゴ生産は世界でも例がなく、高単価のイチゴを安定生産する技術を確立することで、将来的に大規模農場の展開と生産者の増加を目指す。
生食に適した大粒・高糖度の日本のイチゴは、世界でも高く評価されており、ニーズの高さから養液栽培が拡大傾向にあるが、養液(化学肥料)の原料は世界情勢により輸入量や価格が安定しない。製造過程で多くのエネルギーを要するため、コストと環境負荷の高さが課題となっている。
環境負荷の低い栽培方法で高品質なイチゴの安定生産が可能になれば、生産者の収入増につながることから、アクポニは、アクアポニックス産イチゴの試験栽培に取り組んできた。
同社は全国で約35件のアクアポニックス農場の施工実績があり、太陽光型栽培施設でのイチゴ栽培には成功しているが、完全閉鎖型施設では実証できていない。一方、アグリ王は障害者就労支援施設向けに完全閉鎖型の養液栽培によるイチゴのLED型植物工場を設計・施工しており、近年アクアポニックスに関する問い合わせが増加していたことから、今回の共同実証実験の実施につながった。
「アクアポニックス」は、水耕栽培と魚の養殖をかけあわせた循環型農業で、高い生産性と環境配慮の両立ができる農業として国内外から注目が集まっている。
同実験では、神奈川県横浜市港北区に新設したアグリ王の試験農場内で、LEDライトを用いた完全閉鎖型のアクアポニックスを用いてイチゴの周年栽培を実証。人工的に生育環境を整えた室内でイチゴを栽培することで、気候や地域に関わらず安定して無農薬・無化学肥料・無除草剤の安全安心なイチゴを生産する技術の確立を目的としている。
完全閉鎖型の試験農場
試験農場では、イチゴは四季なりの「よつぼし」を、魚は錦鯉の育成を予定。アクポニの特許技術を活用し、フィルター内に溜まった魚のフンや残餌の塊などの汚泥から植物の栄養素を回収する装置を付けることで、農場からの排水を一切無くし、魚のフンに含まれるミネラル分を最大限植物の肥料へ転換する。
実証実験にあたり、アクポニ代表取締役の濱田健吾氏は「アグリ王が培ってきた完全閉鎖型の周年イチゴ栽培にアクアポニックス技術を付加し、資源・エネルギーの利用効率を高めた完全閉鎖型かつ循環型のイチゴ栽培システムの構築を進め、世界へ展開していきたい」とコメント。また、アグリ王代表取締役社長の徳丸義洋氏は「弊社の強みである閉鎖型植物工場でのイチゴ栽培に循環型農業であるアクアポニックス技術を融合させることで、障害者等の就労や生きがいづくりを生み出すだけでなく、担い手不足や高齢化が進む農業分野における新たな働き手の確保も目指している」と話している。
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