昆虫の力で食品廃棄物の臭気を抑制 育てた昆虫はタンパク質資源へ 農研機構2023年4月25日
農研機構、東京大学、筑波大学の研究グループは、アメリカミズアブ幼虫の腸内細菌叢を含んだ飼育残渣を食品廃棄物に加えることで、食品廃棄物が発生する臭気を抑える技術を開発。同技術は、ミズアブを使った食品廃棄物の処理時に生じる悪臭の問題を解決し、ミズアブ処理による食品残渣のリサイクルの拡大と昆虫タンパク質の生産拡大に貢献する。
アメリカミズアブ(ミズアブ)は、食品ロスや生ごみなどの食品廃棄物を栄養源としても発育できる昆虫。このミズアブを家畜や養殖魚の飼料のタンパク質源として利用する技術が世界的に広がりつつありる。一方、食品廃棄物を処理する際に悪臭が発生することが、ミズアブを利用した廃棄物処理プラント建設の障害となっている。
ミズアブの幼虫(左)、蛹(中央)と成虫。『ScientificReports』から
農研機構、東京大学、筑波大学の研究グループは、ミズアブが腸内細菌叢の力を借りて有機物を効率よく分解すること、食品廃棄物をミズアブのエサとして飼育した残渣には腸内細菌が大量に含まれることに着目。食品廃棄物でミズアブを飼育すると、ミズアブを入れないで放置する場合と比較して、悪臭の主原因である二硫化メチルや三硫化メチル等が激減した。
また、ミズアブを飼育する場合としない場合の食品廃棄物内で増殖する細菌の種類を比較したところ、ミズアブの有無により細菌の種類が大きく異なることを発見。ミズアブを飼育した食品廃棄物では、細菌の種数が減少する一方、ラクトバシラス属とエンテロコッカス属の細菌の割合が大きく変化していた。
以上のことから、これらの細菌が悪臭の原因となる物質の蓄積を抑え、悪臭を抑制していると考えられる。
さらに、ミズアブの飼育残渣をエサとする食品廃棄物にあらかじめ加えることで、食品廃棄物が腐敗する際に発生する臭気を大きく抑制。ミズアブ飼育の際に食品廃棄物から発生する臭気が抑えられ、ミズアブを利用した廃棄物処理プラントを建設する際の障壁を取り除くことができる。
同技術は導入が容易で、追加の投資もほとんど不要であることから、ミズアブによる食品廃棄物処理の利用拡大に大きく貢献する。
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