カンキツの品種を迅速・簡便に識別 DNA検査法を確立 岡山大学など2023年5月10日
岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域(農)の門田有希准教授、進藤彰子研究員、農研機構果樹茶業研究部門の島田武彦研究領域長、愛媛県農林水産研究所の岡本充智主任研究員、株式会社ファスマックの高崎一人氏、竹内朋幸氏らの研究グループは、カンキツの品種を簡便かつ迅速に識別できる新たなDNA検査法を開発した。
同研究で開発されたDNA検査法の概要
近年、日本国内で育成された優良な品種が海外へ流出し、無断で栽培される事態が発生している。品種の育成者権を保護するとともに日本の生産者を育成者権侵害物品から守るために、税関等の水際で侵害物品か否かを迅速に判別しなければならないが、これまでの手法では検査に時間がかかり、高価な機器や設備を必要とするため、現場検査に対応できなかった。
同研究では、レトロトランスポゾンという転移性DNA配列を高速シーケンサーで解析し、カンキツの品種を正確に識別できるDNAマーカーを開発。レトロトラスポゾンは真核生物のゲノム中に存在する転移性DNA配列で、品種間で異なるDNA領域に存在しているレトロトランスポゾン配列は優れた目印(=DNAマーカー)となる。
さらに開発したDNAマーカーで増幅したDNA産物を核酸クロマトPAS(CPAS)法で検出することで、簡便かつ迅速にDNA品種識別検査ができる手法を確立した。この手法では、マッチ棒サイズのメンブレンスティックをDNA溶液に浸すだけで、陽性か陰性かを判定する青いDNAシグナルを検出できる。
同研究で開発した手法は税関での水際検査、侵害物品の検査等における利用が期待される。
同研究成果は4月27日に日本育種学会が発行する英文誌『BreedingScience』オンライン版で早期公開された。
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