【特殊報】トマト葉かび病菌 レース4.9と2.4.9 県内で初めて確認 神奈川県2023年5月15日
神奈川県農業技術センターは、トマトにトマト葉かび病菌 レース4.9および2.4.9の発生を県内で初めて確認。これを受けて、5月12日に令和5年度病害虫発生予察特殊報第1号を発令した。
(図1)トマト葉かび病の病徴(葉表・裏)
2022年5月に、神奈川県内の施設トマトにおいて葉かび病抵抗性品種「CF桃太郎はるか」(抵抗性遺伝子Cf-9)および「マイロック」(抵抗性遺伝子非公開)に葉かび病の発生が確認された。
罹病葉から単胞子分離した菌株について、農研機構の植物防疫研究部門にレース検定を依頼したところ、神奈川県では未確認のレース4.9およびレース2.4.9であることが判明。同県内では、これまでにレース2.4、レース2.9およびレース2.4.11の発生が確認されている。なお、国内では2007年以降、抵抗性品種(Cf-9 )を侵すレースの発生が複数地域から報告されている。
(図2)トマトすすかび病の病徴(葉表・裏)
同病は主に葉に発生し、発病葉の表面は一部黄変し(図1左)、葉裏に灰黄色から緑褐色のビロード状のかびが密生する(図2左)。症状が進展すると、葉裏の菌叢は灰褐色から灰紫色に変化する。病斑は初め下位葉に現れ、しだいに上位葉にひろがる。病勢が激しい場合には葉が枯れ上がる。
今回のレースを含め国内で13種類のレースが確認されている。レースによる病徴に違いはない。なお、同病の症状はすすかび病と酷似しており(図1右、図2右)、肉眼での判別は困難。顕微鏡による分生子の確認が必要となる。
同センターでは次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇県内で栽培されている抵抗性品種は、抵抗性遺伝子がCf-9のものが多く、今回発生が確認されたレースに罹病性であるため、抵抗性品種を栽培しているほ場でも、同病の発生に注意する。
〇同病は肥料切れや着果負担等により生育が衰えると発生しやすいため、肥培管理に注意する。
〇多湿条件下で発生しやすいため、換気やかん水量等に注意する。
〇発病葉は伝染源となるため、早めに取り除き、ほ場外へ持ち出して適切に処分する。
〇多発してからの防除は困難であるため、発病前~発病初期の防除に努め、薬剤散布は葉裏にも十分にかかるように丁寧に行う。なお、薬剤の感受性低下を防ぐため、同一系統薬剤の連用を避け、異なる系統の薬剤をローテーションで使用する。
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