【特殊報】ショウガに「ショウガ紅色根茎腐敗病」県内で確認 熊本県2023年5月18日
熊本県病害虫防除所は、ショウガにショウガ紅色根茎腐敗病発生を県内で確認。これを受けて、5月15日に令和5年度病害虫発生予察特殊報第2号を発令した。
被害根茎。表面が赤色に変色し(左)、変色は表面にとどまる(右)(写真提供:熊本県病害虫防除所)
2022年10月、熊本県内のショウガ栽培ほ場で、根茎の表面が赤色に変色する症状が確認された(図1)。被害根茎から分離した糸状菌を、農林水産省門司植物防疫所に同定依頼したところ、ショウガ紅色根茎腐敗病を引き起こすSetophomaterrestrisと同定された。
国内では、2000年に高知県で初めて確認され、Pyrenochaeta terrestrisによる「ショウガ紅色根茎腐敗病」と命名された。(Gruyterらによる再分類により、同菌の学名は現在Setophomaterrestrisと定義されている)。
根茎に発生し、地上部には症状がみられない。軽症の場合は、根茎の表面が淡赤色~褐色に変色し、重症の場合は、根茎の表面が割れ、その部分が黒褐色に変色する。変色が表面にとどまる場合と、根茎内部に褐色水浸状の腐敗が進行する場合がある。
Setophoma terrestrisの分生子(写真提供:熊本県病害虫防除所)
同防除所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇り病植物体中の菌が第一次伝染源となるため、収穫後は残さを除去し、適切に処分する。
〇土壌伝染を防止するため、種ショウガ植え付け前の土壌消毒を行う。
〇種ショウガによる伝染を避けるため、病徴が認められる根茎は種ショウガとして使用しない。なお、根茎の一部に症状が認められる場合、外観上健全な部分も保菌している場合があるので注意する。
〇連作すると多発する。なお、同菌は、ネギ、トマト、メロンなどの植物に感染し、「紅色根腐病」の病名が報告されているため、輪作する場合は寄主植物を選択しないよう注意する。
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