【特殊報】トマトにナスコナカイガラムシ 県内で初確認 静岡県2023年6月26日
静岡県病害虫防除所は、県西部地域の施設栽培のトマトにナスコナカイガラムシの寄生を確認。これを受けて、6月23日に令和5年度病害虫発生予察特殊報第2号を発令した。
ナスコナカイガラムシの成幼虫（写真提供：静岡県病害虫防除所）
5月中旬、静岡県西部地域の施設栽培のトマトにおいて、コナカイガラムシ類が株に寄生していることを確認。採集された個体を、農林水産省名古屋植物防疫所清水支所に同定依頼した結果、ナスコナカイガラムシ（PhenacoccussolaniFerris）と同定された。
同種は北米、中南米に広く分布するほか、寄主植物と共に移出、定着したものがハワイ、ミクロネシア、南アフリカ等で発見されている。国内では、2003年に高知県で初めて報告された後、長崎県、愛知県など全国の17府県で発生が確認されている。
広食性で、寄生植物は雑草を含むキク科、ナス科、マメ科、アブラナ科等30科に及ぶ。野菜類、花き類、観葉植物、果樹類など広範囲の植物を加害する。国内では施設栽培のピーマン、とうがらし類（甘長とうがらし、ししとう）、なす、きゅうり、すいぜんじな、きく、パンジーで発生が確認されている。
雌成虫は、長楕円形で体長3～5ミリ。体色は灰色で、体表は白色粉状の分泌物で覆われる。体周縁のロウ物質の突起は18対あるが、極めて短く目立たない。雌のみによる単為生殖を行い、雄は知られていない。卵胎生のため、卵のうを形成せず直接産仔する。産仔数は約200とされ、3齢幼虫を経て成虫となり、年間に数世代を繰り返す。
被害としては、主に葉、茎に寄生し、多発すると果実にも寄生がみられる。成・幼虫の吸汁による生育阻害や、排泄物として甘露を分泌するため、葉や果実にすす症状を引き起こす。
同防除所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇現在、トマトにおいて同種に対する登録農薬はない。
〇ほ場の一部から発生することが多いため、ほ場内をよく観察して早期発見に努め、発生を確認した場合は、拡大を防ぐため寄生部位をすみやかに除去を。除去後は、ほ場外に持ち出し土中に埋めるか、ビニール袋に密閉して処分するなど適切に処理する。
〇観葉植物や雑草にも寄生するため、施設内への観葉植物等の持ち込みを控え、施設内外の除草を徹底する。
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