栽培柿の高精度全ゲノム解読 果実や性別の進化を解明 岡山大学2023年7月13日
岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域(農)の赤木剛士教授と堀内綾乃大学院生(修士課程2年)は、栽培柿の主要品種「太秋」の全ゲノム情報を解読。ゲノム情報から栽培柿に独自の果実形質の進化や重要となる遺伝子領域を明らかにした。また、栽培柿における「壊れた性染色体」の進化過程を明らかにした。同研究は、かずさDNA研究所、農研機構果樹茶業研究部門との共同研究として行われた。
「壊れたY染色体」の進化モデル
生物が生きる上で最低限必要な遺伝子情報のセットを「ゲノム」と呼ぶ。ヒトを含む多くの生物は2セットのゲノムを持つ「二倍体」だが、植物、特に栽培される作物の中には、複数セットのゲノムを持つ「倍数体」が多く存在する。普段食べられている栽培柿も倍数体で、6セットのゲノムを持つ「六倍体」。栽培柿には、「さるかに合戦」で有名な甘柿・渋柿のほか、多様な果実の形、一本の樹の中で揺らぐ性別(雄花・雌花・両性花)、などユニークな形質がある。これらの形質は、近縁野生種には見られず、六倍体の栽培柿が倍数性進化や栽培化の過程で手に入れてきたものであると考えられている。
栽培柿品種群に見られる多様な果実形状
今回の共同研究では、栽培柿の主要品種である「太秋」の全ゲノム情報を高精度に解読。そのDNA配列情報から、近縁種との分岐や栽培柿が六倍体になった年代や「壊れた性染色体」を成立させた進化過程を明らかにした。さらに、日本国内に存在する約170の栽培柿品種群の全ゲノムデータを用いることで、日本の栽培柿が特定の栽培化ルーツを持つわけではなく品種群ごとに独立してバラバラに分化してきた過程が判明。また、甘柿・渋柿の違い・多様な果実の形など、栽培柿が進化の中で独自に手に入れたと考えられる有用形質に重要な遺伝子群の存在領域を特定した。
同研究により、本来解析が難しいと言われていた六倍体の栽培柿の遺伝解析基盤を作り、その独自の進化や有用形質に関する知見が得られた。同成果のうち全ゲノム解読および性別の進化に関する内容は進化学の国際論文誌『Molecular Biology and Evolution』に掲載。また、栽培柿の品種分化や果実形質の進化に関する内容はゲノム科学の国際論文誌『DNA Research』に掲載された。
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