【特殊報】トマトキバガ 県内で誘殺成虫を 初めて確認 徳島県2023年7月21日
徳島県立農林水産総合技術支援センターは、トマトキバガ(チョウ目キバガ科)の県内で誘殺成虫を初めて確認。これを受けて、7月21日に令和5年度病害虫発生予察特殊報第1号を発令した。
県内で誘殺されたトマトキバガ成虫(写真提供:徳島県立農林水産総合技術支援センター)
同センターは6月30日、徳島県阿波市のトマト栽培ほ場周辺に設置したトマトキバガの侵入調査用のフェロモントラップにおいて、誘殺された蛾の成虫を神戸植物防疫所に同定依頼した結果、徳島県では未発生のトマトキバガであることが判明した。現在のところ、県内では農作物における発生および被害は確認されていない。
同種は、南アメリカを原産とする外来種で、国内では、2021年10月に熊本県、同年12月に宮崎県のトマトほ場で発生が確認された。それ以降、これまでに計18道県でトラップによる誘殺が報告されている。
成虫は、翅を閉じた静止時で体長5~7ミリ(前翅長約5ミリ、開張約10ミリ)の小型の蛾で、前翅は灰褐色の地色に黒色斑が散在する。後翅は一様に淡黒褐色で、翅頂下がえぐれる。トマト、なす、ピーマン、ばれいしょ等のナス科植物が主要な寄主植物で、マメ科のインゲンマメも寄主植物として確認されている。
1年に複数の世代が発生し、繁殖力が高い。発生世代数は、環境条件によって異なり、年に10~12世代発生する地域もある。卵~成虫になるまでの期間は、24~38日程度で、気温が低い時期はさらに延びる。
成虫は夜行性で、日中は葉の間に隠れていることが多く、雌は一生のうちに平均約260個の卵を寄主植物の葉の裏面などに産み付ける。幼虫は1齢から4齢までの生育ステージがあり、土中や葉の表面で蛹化する
被害としては、トマトでは、茎葉の内部に幼虫が潜り込んで食害し、孔道が形成される。果実では、幼虫がせん孔侵入して内部組織を食害するため、品質が著しく低下する。葉の食害部分は表面のみ残して薄皮状になり、白~褐変した外観となる。
同センターでは次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇ほ場内をよく見回り、見つけ次第捕殺する。
〇トマトキバガの発生が疑われた場合は、病害虫防除所(電話)088-674-1954)に連絡する。
〇発生を拡大させないため、薬剤散布を行うとともに、被害葉や被害果実はほ場に放置せず速やかに土中に深く埋没するか、ビニル袋などに入れて一定期間密閉し、寄生した成幼虫を全て死滅させ、適切に処分する。
〇トマトキバガに対する登録農薬は、表1を参照。また、植物防疫法第29条第1項に基づく措置として、表2に記載された農薬により防除できる。なお、薬剤散布にあたっては、薬剤抵抗性の発達を防ぐため系統が異なる薬剤のローテーション散布を行う。
表1:トマトキバガに登録のある薬剤(トマト及びミニトマト)
表2:植物防疫法第29条第1項の規定により使用できる薬剤
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