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【特殊報】トマトキバガ 県内で初めて確認 福島県2023年8月22日

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福島県病害虫防除所は、同県で未発生のトマトキバガ(チョウ目キバガ科)を初めて確認。これを受けて、8月22日に令和5年度病害虫発生予察特殊報第1号を発令した。

福島県で誘殺されたトマトキバガ成虫(写真提供:福島県病害虫防除所)福島県で誘殺されたトマトキバガ成虫(写真提供:福島県病害虫防除所)

トマトキバガは、改正植物防疫法(4月1日施行)に規定された侵入警戒有害動植物のうちの一種。今年度から設置した同種の性フェロモントラップ調査(県内の調査地点は6地点、誘殺地点は会津地域の1地点)において、8月9日の調査時に誘殺を確認した蛾の成虫を横浜植物防疫所に同定依頼したところ、福島県で未発生のトマトキバガであることが8月15日に判明した。同18日現在、トマト(ミニトマトを含む)、ナスおよびピーマンのほ場を対象とした調査において、同種による被害は認められていない。

トマトキバガは、2021年10月に熊本県の施設トマトに、国内で初めて発生が確認されて以来、2022年には九州全域、近畿地方で誘殺が確認されている。今年に入り北海道・東北地方では、北海道、青森県、秋田県、岩手県、宮城県で性フェロモントラップへの誘殺が確認されている。

成虫は、翅を閉じた静止時で体長5~7ミリ(前翅長約5ミリ、開張約10ミリ)。前翅は灰褐色の地色に黒色斑が散在し、後翅は一様に淡黒褐色。幼虫は、終齢で約8ミリ。体色は淡緑色~淡赤白色で頭部は淡褐色。前胸の背面後方に細い黒色横帯がある。

同種は繁殖力が高く、発生世代数は環境条件によって異なるが、卵~成虫になるまでの期間は24~38日程度で、年に10~12世代発生する地域がある。成虫は夜行性で、日中、葉の間に隠れていることが多い。雌蛾は一生のうちに平均約260個の卵を寄主植物の葉裏などに産み付ける。幼虫は1齢から4齢までの発育ステージがあり、土中や葉の表面で蛹化する。

主な寄主植物はトマト、ナス、ピーマン、バレイショなどのナス科植物。その他、マメ科植物のインゲンマメに寄生することが確認されている。トマトでは、茎葉の内部に幼虫が潜り込んで食害し、孔道が形成され、葉の食害部は表面のみ残して薄皮状になり、白変~褐変する。果実では、幼虫がせん孔侵入して内部組織を食害するため、果実品質が著しく低下する。

表1:トマトキバガに登録のある農薬(トマト、ミニトマト)

同防除所では次のとおり防除対策を呼びかけている。

〇各産地品目ともに、防除圧の低いほ場は発生リスクが高いため、栽培ほ場内をよく見回り、見つけ次第、捕殺する。施設栽培では開口部に防虫ネット等を設置し、侵入を防止する。

〇トマトキバガの発生が疑われる場合は、病害虫防除所または最寄りの農林事務所農業振興普及部・農業普及所に速やかに連絡する。

〇発生が見られた場合は、まん延を防ぐため、農薬を適正に使用するとともに、被害葉や被害果実はほ場に放置せず、土中に深く埋設するか、ビニール袋などに入れ一定期間密閉し、寄生した成幼虫を完全に死滅させたうえで、適切に処分する。

〇トマトキバガに対するトマトおよびミニトマトの登録農薬は表1のとおり(8月16日現在)。現在、同種に登録農薬のない福島県の主要農作物は、植物防疫法第29条第1項に基づく措置として、各表に記載のある農薬を使用し防除することができる。なお、薬剤散布に当たっては、最新の農薬登録情報を確認し、薬剤抵抗性の発達を防ぐため系統が異なる薬剤のローテーション散布を行う。

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