【特殊報】ツツジ類にツツジメタマバエ 県内で初めて確認 三重県2023年8月31日
三重県病害虫防除所は、ツツジ類にツツジメタマバエ(仮称:ハエ目タマバエ科)の発生を県内で初めて確認。これを受けて、8月31日に令和5年度病害虫発生予察特殊報第1号を発令した。
図1:ツツジメタマバエ(仮称)幼虫体長約1.5mm
(提供・撮影:佐賀大学農学部システム生態学分野AymanElsayed助教)
三重県病害虫防除所によると、2014年ごろから県内で栽培されているツツジに、新芽が縮れて奇形になる症状が確認されてきた。2017年以降、2021年までに複数回、被害部位にハエ類の幼虫の寄生が認められたが、成虫を得られず同定には至らなかった。
その後、2022年9月に県北部の公園で採取された幼虫から成虫を得たため、佐賀大学農学部システム生態学分野徳田教授に同定を依頼したところ、今年3月に、ハエ目タマバエ科の未記載種であるとわかった。
図2:ツツジメタマバエ(仮称)成虫体長約2mm
(提供・撮影:佐賀大学農学部システム生態学分野AymanElsayed助教)
ツツジメタマバエは幼虫(図1)がツツジ類の新梢先端部の未展開部を食害し、葉が成長するにつれて一部が縮れ、奇形になる症状を示す(図3)。同種の詳細な生態は不明だが、三重県農業研究所での飼育の結果から、成虫(図2)がツツジ類の新芽に産卵して、新芽内で幼虫が成長した後に落下し、土壌中で蛹になり羽化すると考えられる。他の植物種への加害は不明。
図3:ツツジメタマバエ(仮称)によるヒラドツツジの被害新梢(写真提供:三重県病害虫防除所)
三重県農業研究所が行った発生消長調査では、6月下旬と10月中旬に被害枝や幼虫の発生量が多くなり、剪定が行われる時期や夏の高温期に発生量が減少する傾向が認められた。
同防除所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇8月現在、同種に対する登録農薬はない。
〇被害が大きく、防除が必要と判断される場合は、新梢の寄生部位を切除し、袋などで密閉し、圃場外に持ち出したうえで適切に処分する。
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