【特殊報】サツマイモ基腐病 県内で初めて確認 佐賀県2023年9月5日
佐賀県農業技術防除センターは、サツマイモ基腐病の発生を県内で初めて確認。これを受けて、9月5日に令和5年度病害虫発生予察特殊報第2号を発令した。
図1:圃場での株の萎れ・図2:地際部の黒変症状(写真提供:佐賀県農業技術防除センター)
佐賀県農業技術防除センターによると、6月に県内のサツマイモ圃場で葉が赤変し、株がしおれる症状(図1)が確認された。これらの株を引き抜いたところ、茎の地際部が黒変しており(図2)、一部の株では黒変部位に小黒粒が形成されていた(図3)。黒変部位を顕微鏡下で観察したところ、胞子が多量に漏出するのが確認された(図4)。
図3:茎に形成された小黒粒(柄子殻)、
図4:症状部位から漏出する胞子(写真提供:佐賀県農業技術防除センター)
そこで、黒変部から菌を分離し、農林水産省門司植物防疫所に同定を依頼したところ、佐賀県では未確認のサツマイモ基腐病と判明した。同病は、国内では2018年に沖縄県で初めて発生が確認され、その後、計31都道府県で報告されている。
苗床および本圃では、葉の赤変や黄変が見られ、株の生育不良や萎凋、枯死が起こる。そのような株では茎が地際部から黒変し、黒変した部位には微小な黒粒(柄子殻)が多数形成される。また、本圃で茎葉が繁茂する時期は株の異常に気付きにくく、収穫前の茎葉の生育が衰える頃に急激に枯れたように見えることが多い。
塊根では、なり首側から腐敗し、見た目は健全な塊根でも、貯蔵中などに腐敗することがある。同病の病原菌は糸状菌で、宿主植物はヒルガオ科(主にサツマイモ)のみで、罹病した苗や塊根が伝染源となる。同病の病変部には柄子殻が多数形成され、柄子殻から漏出した多量の胞子は、風雨や圃場の湛水により周辺株に感染し、発生が拡大。同病が発生した圃場では、病原菌が罹病残渣中に残り、次年の伝染源となる。
同センターでは次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇同病の未発生圃場で生産された健全種苗を使用するとともに、定植前には適用のある薬剤で苗を消毒する。特に、採苗する場合には、健全な種いもを使い、採苗当日に消毒する。なお、採苗時のハサミはこまめに消毒する。
〇発病した株は速やかに抜き取り、圃場から持ち出し適切に処分する。抜き取り後には、感染予防のため、本病に登録のある薬剤を散布する。
〇同病が発生した圃場で使用した器具や資材、長靴等は、洗浄や消毒を十分に行う。
〇残渣は次作での伝染源となるため、収穫後は圃場から速やかに取り除くとともに、細断すき込みなどを行い、残った残渣の分解を促進させる。
〇同病の発生が見られた圃場では、次作のサツマイモ栽培を控えるか、植え付け前の土壌消毒を実施する。
〇同病は排水不良圃場で発生が多くなるため、圃場の排水対策を行う。
〇その他、同病の生態や防除対策等については、農研機構生研支援センターイノベーション創出強化研究推進事業(01020C)令和4年度版マニュアル「サツマイモ基腐病の発生生態と防除対策」を参照する。
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