【特殊報】パセリ葉先枯病 県内で初めて確認 千葉県2023年9月20日
千葉県農林総合研究センターは、パセリ葉先枯病(仮称)の発生を県内で初めて確認。これを受けて、9月15日に令和5年度病害虫発生予察特殊報第3号を発令した。
写真1:現地での発生状況、写真2:葉先枯れ症状(以下、写真提供:千葉県農林総合研究センター)
千葉県農林総合研究センターにょると、2021年8月に、県内のパセリ生産ほ場で、葉先から徐々に褐変が拡大する葉枯れ症状(写真1・2)が発生した。生産者の要請を受けた管轄農業事務所がこの症状を確認し、農林総合研究センターに診断を依頼した。
写真3:S. lycopersici の分生子、写真4:S. vesicarium の分生子
同センター病理昆虫研究室及び生物工学研究室で、2021~2022年に採集した同様の症状である3検体を診断したところ、病原菌の形態的特徴およびrDNA-ITS領域およびGPD遺伝子の遺伝子解析の結果から、S. lycopersici (写真3)または S. vesicarium (写真4)による国内未報告の病害であることが判明した。
同病は、令和5年度日本植物病理学会関東部会で同センターより報告し、パセリ葉先枯病を提唱した。
写真5:S. lycopersici の病徴、写真6:S. vesicarium の病徴
病徴としては葉先から褐変して広がる(写真5・6)。なお、病徴からどちらの菌が原因であるかを区別することは難しい。病斑上にできた分生子により伝染する。同じ菌が原因となる病害として、S. lycopersici はトマト斑点病・ピーマン白斑病・スターチス葉枯病等が、S. vesicarium はスミレ類葉枯病等が報告されている。
なお、人畜には無害で、同菌が付着した食物を摂取したことで健康を害したという報告はない。
同所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇り病株は速やかにほ場外へ持ち出し、埋却処分する。
〇両菌とも生育適温は25℃。分生子が雨風やかん水の飛沫により飛散し、多湿条件で発生しやすい。
〇現在、同病に登録のある農薬はない。
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