【特殊報】トマトに「トマト立枯病」県内で初めて確認 福岡県2023年9月20日
福岡県農林業総合試験場は、トマト立枯病の発生を県内で初めて確認。これを受けて、9月14日に令和5年度病害虫発生予察特殊報第3号を発令した。
左から、図1:上位葉の黄化および萎縮(以降、写真提供:福岡県農林業総合試験場)、
図2:地際部の褐変、図3:地際部表面の子のう殻(写真提供:福岡県農林業総合試験場)
福岡県農林業総合試験場によると、4月に県内の施設トマトほ場で、上位葉が黄化および萎縮し、地際部に褐変症状を呈する株が確認され、地際部の褐変した茎表面には赤橙色の小粒が形成されていた。
病徴部からFusarium solaniが分離され、門司植物防疫所に同定を依頼したところ、Fusarium solani melongenae(Haema tonectria ipomoeae)によるトマト立枯病と確定された。
国内の発生状況は、1990年に愛知県で初めて確認された後、宮崎県、広島県、三重県、岐阜県、佐賀県で発生が報告されている。同病菌は、トマト以外にナスやピーマン等で立枯症状を引き起こすことが知られている。
病徴としては、葉の黄化や萎れが発生し(図1)、最終的に枯死する。株の地際部には、褐変やひび割れが認められ(図2)、茎の内部は黒褐色に腐敗する。株の地際部や露出根部の罹病部表面に赤橙色の小粒(子のう殻)が形成される場合が多い(図3)。
左から、図4:小型分生子、図5:子のう殻・子のう胞子
病原菌の形態は、糸状菌の一種で子のう菌類に分類される。分生子は、楕円~紡錘形で無隔壁の小型分生子(図4)と鎌形で隔壁を有する大型分生子を生じる。子のう殻は赤橙色で、子のう殻中に棍棒状の子のうを形成し、その内部に隔壁を有する子のう胞子を8個形成する(図5)。
生育適温は25~30℃で高温多湿条件を好むと考えられる。土壌中の罹病残渣に付着している病原菌が伝染源となり、発病後は形成された分生子や子のう胞子の飛散により、二次伝染が起こるとみられる。
同所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇8月現在、トマト立枯病に対する登録農薬はないため、耕種的防除を行う。
〇定植前に太陽熱利用等による土壌消毒を実施し、土壌中の病原菌密度を低下させる。
〇罹病株は伝染源となる恐れがあるため、ほ場外へ持ち出し適切に処理する。
〇過度なかん水は避けるとともに、ほ場内の排水対策を徹底する。
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