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【特殊報】施設栽培トマトにおけるトマトキバガ幼虫被害を確認 北海道2023年9月29日

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北海道病害虫防除所は、施設栽培トマトにトマトキバガ幼虫の被害を確認。これを受けて、9月29日に令和5年度病害虫発生予察特殊報第2号を発令した。

左上・写真1:トマト葉の食痕(以下、写真提供:道南農業試験場) 右上・写真2:トマト果実の食害痕 左下・写真3:圃場で確認された幼虫 右下・写真4:トマトキバガ成虫左上・写真1:トマト葉の食痕(以下、写真提供:道南農業試験場)
右上・写真2:トマト果実の食害痕
左下・写真3:圃場で確認された幼虫
右下・写真4:トマトキバガ成虫

北海道病害虫防除所によると、渡島管内の生産者圃場において8月下旬、トマトの葉(写真1)および果実(写真2)に穿孔侵入した食害痕が発生し、作物体上でトマトキバガと疑われる幼虫(写真3)が確認された。羽化した個体から、植物防疫法に規定された侵入警戒有害動植物の一種であるトマトキバガ雄成虫と同定した。

道内におけるトマトキバガの初確認は、6月26日に道南農業試験場(北斗市)のばれいしょほ場に設置した侵入調査用フェロモントラップにおいて捕獲された成虫。その後、横浜植物防疫所と道総研農業試験場が設置した同種のトラップにおいて、空知、石狩、後志、胆振、渡島、オホーツク、十勝管内で成虫が捕獲されている。

同種は南アメリカ原産だが、2006年にスペインへの侵入が確認されて以降、ヨーロッパ、アフリカ、中央アメリカ、西アジア、アラビア半島、インド、ネパール、東南アジアに分布を拡大し、2021年までに台湾、中国、中央アジア諸国等の近隣地域でも発生が確認されている。

同種は国内では、2021年10月に熊本県、同年12月に宮崎県のトマトほ場で初めて確認された。それ以降、青森県や秋田県等、計25道県でトラップによる誘殺が確認されている(9月28日現在)。

成虫(写真4)は、翅を閉じた静止時で体長5~7ミリ(前翅長約5mm、開張約10mm)。前翅は灰褐色の地色に黒色斑が散在し、後翅は一様に淡黒褐色。幼虫は、終齢で約ミリ。体色は淡緑色~淡赤白色で、頭部は淡褐色。前胸の背面後方に細い黒色横帯がある。

1年に複数の世代が発生し、繁殖力が高い。発生世代数は環境条件によって異なり、年に10~12 世代発生する地域もある。卵~成虫になるまでの期間は24~38 日程度で、気温が低い時期はさらに延びる。成虫は夜行性で、日中は葉の間に隠れていることが多く、雌は一生のうちに平均約260個の卵を寄主植物の葉の裏面などに産み付ける。幼虫は1齢から4齢までの生育ステージがあり、土中や葉の表面で蛹化する。

トマト、なす、ピーマン、ばれいしょ等のナス科植物が主要な寄主植物で、マメ科のいんげんまめも、寄主植物として確認されている。トマトでは、茎葉の内部に幼虫が潜り込んで食害し、孔道が形成される。葉の食害部分は表面のみ残して薄皮状になり、白~褐変した外観となる。果実では、幼虫が穿孔侵入して内部組織を食害するため、果実表面に数ミリ程度の穿孔痕が生じるとともに腐敗が生じ、果実品質が著しく低下する。

同防除所では次のとおり防除対策を呼びかけている。

〇ほ場内をよく見回り、見つけ次第捕殺する。

〇トマトキバガの発生が疑われた場合は、速やかに最寄りの農業改良普及センター、農業試験場、病害虫防除所に連絡する。

〇発生を拡大させないため、薬剤散布を行うとともに、被害葉や被害果実はほ場に放置せず、速やかに土中に深く埋没するか、ビニル袋などに入れて一定期間密閉し、寄生した成幼虫を全て死滅させ、適切に処分する。

〇現在のトマトキバガに対する登録農薬は表のとおり。なお、薬剤散布にあたっては、最新の農薬登録情報を確認し、薬剤抵抗性の発達を防ぐため系統が異なる薬剤のローテーション散布を行う。

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