植物の免疫システムを支える遺伝子制御 仕組み解明に手掛かり かずさDNA研究所2023年10月4日
かずさDNA研究所は、理化学研究所と共同で、かいよう病に対抗するトマトの免疫システムを支える遺伝子や制御システムを解明するための重要な手掛かりを発見した。
植物は病害虫に抵抗するための「植物免疫」と呼ばれる仕組みを備えており、植物が病害虫の攻撃を受けると、サリチル酸などの化合物を合成する。「植物ホルモン」と呼ばれるこれらの物質は、植物が免疫を発揮するために重要な役割を果たすことが知られているが、サリチル酸とトマトかいよう病の関係性ははっきりとはわかっていなかった。
今回、かずさDNA研究所と理化学研究所は、トマトをサリチル酸で処理したり、かいよう病に感染させたりすると、ゲノムにあるたくさんの遺伝子が働く強さがどのように変化するかを大規模に調査。その結果、殺菌効果のある酵素を作る遺伝子など病害微生物に対する防御に関わるたくさんの遺伝子の働きが増加していることが分かった。また、これらの遺伝子群に共通の制御を受けている部分があることが示唆された。
この成果を活用して、これらの遺伝子や制御システムをゲノム編集等の分子育種の方法を用いて改良することで、将来かいよう病に対して強い抵抗性を持つトマトを育成できる可能性もある。
今回の研究成果は9月5日、国際学術雑誌『Plant Biotechnology』にオンライン公開された。
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