良食味多収水稲品種「にじのきらめき」を活用 再生二期作による画期的多収生産を実現 農研機構2023年10月5日
農研機構は、良食味多収水稲品種「にじのきらめき」を活用した再生二期作による画期的な多収生産を実現した。輸出用米・業務用米生産への利用に期待される。
図1:水稲の通常の二期作と再生二期作。再生二期作は二期作目の育苗や移植が不要。
近年、地球温暖化の影響で国内においても春や秋の気温が上昇。水稲の生育可能期間が長くなり、これまでよりも早い移植や遅い収穫が可能になってきた。
現在、沖縄県等の生育可能期間が長い地域では、水稲を一度移植・収穫した後に、もう一度、移植・収穫する通常の二期作が行われる場合がある。他方、水稲は多年生の性質を持つため、収穫後に切株からひこばえが発生することから、ひこばえを栽培・収穫する再生二期作を行うことができる。
再生二期作では、通常の二期作で行われる二期作目の育苗や移植が不要で、また適切な管理を行うことで通常の一期作に比べて増収も可能であるため、生産量当たりの生産コストの削減が期待できる。
図2:水稲収穫後の水田で見られるひこばえ
これまでに農研機構は、飼料用米等に用いられている多収品種「北陸193号」を早生化した系統の再生二期作において、一期作目の収穫時期や収穫時の刈り取り高さを工夫することで、福岡県内の試験ほ場で1.5t/10aに迫る超多収が得られることを明らかにしている。しかし、輸出用米や業務用米等に用いられる良食味多収品種の再生二期作栽培技術は、開発されていなかった。
そこで今回、「コシヒカリ」並の良食味性と多収性を兼ね備える農研機構育成品種「にじのきらめき」を用いて福岡県内の試験ほ場で行った再生二期作において、一期作目の移植時期や収穫時の刈り取り高さを検討したところ、苗を4月に移植し、地際から40センチと高い位置で一期作目を刈り取ることにより、切株に蓄積されたデンプンや糖等を利用することで再生が旺盛になった。一期作目と二期作目の合計でおよそ950kg/10a(2か年の平均)の画期的な多収福岡県の生産現場における平均収量は2021年と2022年の平均で482kg/10aが得られることを明らかにした。
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