【特殊報】トマトキバガ 県内で初めて確認 千葉県2023年10月10日
千葉県農林総合研究センターは、トマトキバガの発生を県内で初めて確認。これを受けて、10月6日に令和5年度病害虫発生予察特殊報第4号を発令した。
写真1:誘殺された雄成虫(線の幅は約1mm)(写真提供:千葉県農林総合研究センター)
千葉県農林総合研究センターによると9月28日、同センター病害虫防除課が県内のトマト生産ほ場に設置しているトマトキバガフェロモントラップに、疑義成虫が誘殺された(写真1)。
農林水産省横浜植物防疫所に同定を依頼したところ、10月3日に千葉県内で未発生のトマトキバガと同定された。この虫は、2021年11月に熊本県で特殊報が発表された後、宮崎県から北海道までの計26道県で発生や誘殺が確認されている(10月3日現在)。千葉県内でトマトキバガによる農作物での発生及び被害は確認されていないが、その後も継続的に疑義成虫が誘殺されている(図)。
図:疑義成虫のフェロモントラップ誘殺数
成虫は、翅を閉じた静止時で体長5~7ミリ(前翅長約5mm、開張約10mm)で、前翅は灰褐色の地色に黒色斑が散在し、後翅は一様に淡黒褐色。幼虫は、終齢で約8ミリとなる。体色は淡緑色~淡赤白色で、頭部は淡褐色で、前胸の背面後方に細い黒色横帯がある。
1年に複数の世代が発生し、雌は一生のうちに平均約260個産卵することから繁殖力が高い。発生世代数は環境条件によって異なり、年に10~12世代発生する地域もある。卵~成虫になるまでの期間は24~38日程度だが、気温が低い時期はさらに延びる。
成虫は夜行性で、日中は葉の間に隠れていることが多く、卵は、寄主植物の葉の裏面などに産み付けられる。幼虫は1齢から4齢までの生育ステージがあり、土中や葉の表面で蛹化する。
ナス科植物が主要な寄主植物だが、マメ科のインゲンマメも寄主植物として確認されている。トマトでは、茎葉の内部に幼虫が潜り込んで食害し、孔道が形成される。葉の食害部分は表面のみ残して薄皮状になり、白~褐変した外観となる。果実では、幼虫が穿孔侵入して内部組織を食害するため、果実表面に直径数ミリ程度の穴が空いて腐敗する。
同所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇ほ場内をよく見回り、見つけ次第捕殺する。
〇施設栽培で防虫ネット未設置の場合は、コナジラミ類対策も兼ねてハウスの開口部に0.4ミリ目合いの防虫ネットを設置し、同虫のハウス内への侵入を防止する。
〇発生を拡大させないため、表を参考に薬剤散布を行うとともに、被害葉や被害果実はほ場に放置せず、速やかに土中に深く埋却するか、ビニール袋などに入れて一定期間密閉して寄生した成幼虫を全て死滅させてから適切に処分する。なお、薬剤散布にあたっては、最新の農薬登録情報を確認し、薬剤抵抗性の発達を防ぐため系統(IRACコード)が異なる薬剤のローテーション散布を行う。
※ トマトキバガの発生が疑われた場合は、管轄の農業事務所または病害虫防除課に連絡する。
表:トマトキバガに散布で使用できる農薬(9月29日現在)
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