国際農研育成のサトウキビ品種 タイの奨励品種に採用 バイオエネルギー増産に期待2023年10月23日
国際農研とタイ国農業局コンケン畑作物研究センター(KKFCRC)が共同で育成した、バガスの生産性が高いサトウキビ品種「TPJ 04 768 」が、タイの奨励品種「D OA Khon Kaen 4 」(KK4 )として採用された。タイのサトウキビ産業において、日本との共同研究の成果が奨励品種に採用されることは初めて。
タイ国東北部における株出し2回目の収穫時。「KK4」(左)と普及品種「KK3」
「KK4」は、製糖用サトウキビとタイ国内に自生するサトウキビ野生種との種間交配を利用して育成した品種で、株出し栽培での生産性が優れている。また、現在の普及品種「KK3」と比べて、砂糖の収量は同程度だが、繊維含有率が高いため、バガスを1.5倍程度多く生産できる。
「KK4」の成熟期の草姿
近年、タイのサトウキビ産業では、砂糖生産とともにバガスを利用したバイオエネルギー生産が増加。また、タイで最もサトウキビ生産が盛んな東北部は、厳しい乾季の影響で株出し栽培の収量が低いことが課題となっていた。
同品種の利用により、株出し栽培の収量が低いほ場の生産性を改善するとともに、砂糖を生産しながら、より多くのバガスも生産することで、食料生産と競合しないバイオエネルギーの増産が可能になる。このほど、「KK4」がタイの奨励品種に採用となったことで、タイ国農業局が種苗を毎年生産する体制が整備され、生産を希望する農家や製糖工場への種苗配布が始まることから、同品種の広域的な普及促進が期待される。
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