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外来カミキリムシ種 迅速・確実な寄生検出法を新たに開発 農研機構2023年10月25日

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農研機構は、樹木に穴をあけて寄生し、樹を弱らせるカミキリムシ幼虫穿孔性害虫の一種が樹外に排出する「フラス」に含まれる化学物質を分析することにより、寄生する3種の外来カミキリムシ種を迅速に特定できることを明らかにした。この成果により、種により適用薬剤が異なるためにこれまで困難だった種に合わせた有効な防除対策を早期に実施でき、寄生されている樹木の被害を最小に留めることが可能になる。

クビアカツヤカミキリの成虫クビアカツヤカミキリの成虫

本来日本に生息していない外来カミキリムシが果樹や街路樹などに寄生する被害が、全国で相次いでいる。例えばクビアカツヤカミキリは2012年に被害が発見されてから、6月時点で13都府県で報告され、発生地点も増加。果樹のモモ・ウメ・スモモを数年で枯死させるだけでなく、観光資源のサクラにも甚大な被害を与えており、被害拡大を止めることは喫緊の課題となっている。

ツヤハダゴマダラカミキリの成虫ツヤハダゴマダラカミキリの成虫

外来カミキリムシによる被害拡大を防ぐためには、成虫を捕殺するだけでなく、幼虫がまだ小さい時期に「この樹にカミキリムシが寄生している」ことを検知し、その種類を特定する必要がある。幼虫の種を特定するには、通常、樹内の幼虫を取り出して形態を観察し、さらに分類が容易な成虫になるまで飼育するが、寄生された樹を大きく傷つけること、また幼虫を傷つけて同定できない場合があることが問題となっていた。

そこで農研機構は、幼虫に加害された樹木内のカミキリムシの種類を確認するための新たな方法として、幼虫の食害によって木から排出される「フラス」に含まれる化学物質成分を分析することで、カミキリムシの種を迅速かつ確実に特定する新たな手法を開発した。

サビイロクワカミキリの成虫サビイロクワカミキリの成虫

農林業上、警戒すべき外来カミキリムシ3種(クビアカツヤカミキリ、ツヤハダゴマダラカミキリ、サビイロクワカミキリ)と近縁の日本在来種のゴマダラカミキリについて、幼虫の体表にある炭化水素成分(体表炭化水素)が種ごとに特異的な成分で構成され、それぞれの種が排出するフラスに同じ構成で含まれていることを明らかにした。これにより、樹種に関係なくフラスを調べることで寄生しているカミキリムシ種を特定できる。

この成果は、樹を傷つけることなく寄生する外来カミキリムシを特定し、適切な対策によって果樹園の被害防止や街路樹保護に貢献することが期待される。

ゴマダラカミキリの成虫ゴマダラカミキリの成虫

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