【特殊報】トマトキバガ 府内で初めて確認 大阪府2023年10月31日
大阪府環境農林水産部は、トマトキバガの発生を府内で初めて確認。これを受けて、10月31日に令和5年度病害虫発生予察特殊報第1号を発令した。
図1:10月5日に誘殺された成虫(写真提供:大阪府環境農林水産部)
大阪府環境農林水産部によると10月5日、羽曳野市に設置しているトマトキバガ侵入警戒調査用フェロモントラップに疑義成虫の誘殺を確認(図1)。農林水産省神戸植物防疫所に同定を依頼したところ、10月20日にトマトキバガであることが確認された。
初発見以降、同トラップには10月10日に2頭、同12日に1頭が誘殺され、いずれも神戸植物防疫所により同種と同定された。また、神戸植物防疫所大阪支所が別途大阪市内2か所に設置した侵入警戒用フェロモントラップでも10月23日に計9頭の疑義成虫が誘殺され、すべて同種と同定された。
トマトキバガは、2021年11月に熊本県での初確認以降、沖縄県から北海道までの計37道府県で誘殺が10月30日現在、確認されている。府内での同種の誘殺は今回が初めて。また、現時点では農作物での発生及び被害は確認されていない。
今回、同時期に府内複数地点で多数頭の誘殺が確認されており、10月以降、近隣の兵庫県や京都府、滋賀県でもトラップでの誘殺が相次いで報告されていることから、広い範囲に多くの個体が飛来している可能性があり、ほ場での発生に十分注意が必要。
トマトキバガの成虫は、翅を閉じた静止時で体長5~7ミリ(前翅長約5mm、開張約10mm)。前翅は灰褐色の地色に黒色斑が散在し、後翅は一様に淡黒褐色。幼虫は、終齢で約ミリ。体色は淡緑色~淡赤白色で、頭部は淡褐色、前胸の背面後方に細い黒色横帯がある。
成虫は夜行性で、日中は葉の間等に隠れていることが多い。卵は寄主植物の葉の裏面などに産み付けられ、終齢幼虫は土中や葉の表面で蛹化する。1年に複数の世代が発生し、繁殖力が高い。卵~成虫になるまでの期間は24~38日程度で、気温が低い時期はさらに延びる。
主な寄主植物はトマト・ナス・ピーマン・トウガラシ・タバコ・チョウセンアサガオなどのナス科植物で、マメ科のインゲンマメでも確認されている。トマトでは、幼虫が茎葉の内部に潜り込んで食害し、孔道が形成される。葉の食害部分は表面のみ残して薄皮状になり、白~褐変する。果実では、幼虫が穿孔侵入して内部組織を食害するため、果実表面に直径数ミリ程度の穴が空くとともに、二次的に感染した病原菌により腐敗するため、品質が低下する。
同所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇発生が疑われる場合は、速やかに病害虫防除グループや最寄りの農の普及課、JAに確認する。トマト、ミニトマトでは別表を参考に登録農薬を散布する。その他の作物では本虫に対する登録農薬はないが、被害を防止するため、植物防疫法第29条第1項に基づく農薬散布が認められる場合があるため関係機関に相談する。被害葉や被害果実はほ場に放置せず、速やかに土中に深く埋却するか、ビニール袋などに入れて一定期間密閉して寄生した成幼虫を全て死滅させてから適切に処分する。
なお、薬剤散布にあたっては、最新の農薬登録情報を確認し、薬剤抵抗性の発達を防ぐため、系統(IRACコード)が異なる薬剤のローテーション散布を行う。
〇施設栽培では、コナジラミ類対策も兼ねてハウスの開口部に0.4ミリ目合いの防虫ネットを設置し、トマトキバガの施設内への侵入を防止する。
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