日本には毎年何種の外来植物が侵入していたか 開国から約150年間の推移を解明 農研機構2023年11月9日
農研機構は、日本には毎年何種の外来植物が新規に侵入していたかを初めて定量化し、1845年から2000年の推移を明らかにした。日本に新規に侵入した外来植物の種数は、1900年までは年間5種以下だったが、1950年代後半に年間16種に達し、直近の1991~2000年の平均は年間13種。同研究で明らかとなったこれまでの侵入種数の値は、生物多様性や農林水産業にとって問題となりうる外来植物の侵入低減に向けて具体的な削減目標種数を決める際に指標として活用できる。
人や物の国際的な移動の増加に伴い、日本を含む世界各地で外来種の導入と定着する"侵入"が進んでいる。外来種の中には、生物多様性や農林水産業、人の健康などに大きな被害をもたらすもの侵略的外来種があり、こうした種がさらに侵入することを防止するための対策が進められている。
今後、侵略的外来種の侵入数をどれだけ削減するか、具体的な目標を定める上で、現在までに、いつ、どれ位の種が侵入したのかを把握することは重要。一方で、日本では、鎖国が終わった江戸末期以来外来植物が増え続けているものの、何年頃何種の外来植物が侵入したのか、また近年は何種が侵入しているのかなど、削減目標を設定する際指標にできる情報が整理されていなかった。
今回、農研機構は、森林総合研究所と共同で、日本に侵入した外来植物種をリスト化し、複数の外来植物図鑑と標本記録から各種の国内初確認年のデータを収集。日本には毎年何種の外来植物が新規に侵入していたのか、江戸末期以降約150年間の長期推移を初めて明らかにした。1年間に日本に新規に侵入した外来植物の種数(年間新規侵入種数は、1950年代後半に16種で最大となり、1991~2000年の平均値は13種で、近年になっても毎年多くの種が新
たに侵入していたことがわかった。
2030年までの世界の生物多様性保全目標を定めた「昆明・モントリオール生物多様性枠組」では、「侵略的外来種の導入率及び定着率を50%以上削減する」という数値目標が掲げられている。同研究で明らかになった外来植物の年間新規侵入種数の値は、この目標の達成に向けて、具体的な削減目標種数を決める際に指標として活用できる。
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