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抑草のための水田深水管理 イネ深水抵抗性に関わるゲノム領域を特定2023年12月5日

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東京農工大学大学院連合農学研究科の磐佐まりな氏、同大学農学研究院生物生産科学部門の大川泰一郎教授、農研機構西日本農業研究センターの浅見秀則氏、農工大発ベンチャーの有機米デザイン株式会社中村哲也氏らの研究グループは、除草剤を減らして、水田の雑草発生を抑制するための深水管理条件におけるイネの旺盛な生育に関わるゲノム領域を特定することに成功。この成果により特定されたゲノム領域を品種改良に利用することで、除草剤を減らし環境負荷を軽減した持続的な農業生産の拡大につながることが期待される。

図1:20cmの深水管理中の生育初期のイネの様子深水処理17日後。深水により一部の個体が黄化、枯死し茎数が減少してしまったイネ黄色破線手前と、ストレスをほとんど受けず旺盛に生育しているイネ黄色破線奥の様子図1:20cmの深水管理中の生育初期のイネの様子深水処理17日後。
深水により一部の個体が黄化、枯死し茎数が減少してしまったイネ黄色破線手前と、
ストレスをほとんど受けず旺盛に生育しているイネ黄色破線奥の様子

環境負荷を軽減し持続的な食料・農業生産を目指したイネの有機栽培や除草剤の使用頻度を半分以下とする特別栽培においては、様々な雑草種が水田で出芽・成長し、雑草との生育競合によってイネの生育は抑制され収量も低下する。雑草を除去したり雑草を抑制したりする"雑草防除"に要する多大な労力は、農林水産省が策定した「みどりの食料システム戦略」における環境負荷を減らした農業生産の拡大において大きな問題となる。

イネの移植直後の生育初期に水田の水位を10~20センチほどの深さに数週間保つ深水管理は、効率的な抑草技術として古くから行われてきた。深水管理は、水田雑草タイヌビエの出芽や生育の抑制に高い効果がある一方、イネの生育も抑制してしまう(図1)。深水管理条件下でのイネの生育抑制を最小限にするには、深水に強く高い深水抵抗性を示すイネ品種開発が不可欠となる。

東南アジアや南アジアでは、しばしば水位が数メートルにも達する洪水が数か月続く。洪水による冠水に適応した浮イネは、背丈を急激に伸長させることで冠水下の過酷な環境を生き延びることができる。これまでの研究により、浮イネの急激な伸長を引き起こす複数の遺伝子が明らかにされてきたが、抑草を目的とした水位10~20センチほどの深水管理下におけるイネの生育初期の深水抵抗性に関する生理、遺伝学的研究はほとんど行われていなかった。

同研究では、日本国内から収集した温帯ジャポニカイネ品種165品種を用いて、20センチの深水条件におけるイネ生育の品種間差異を明らかにした。さらに、深水抵抗性に関わるゲノム領域とその中に存在すると考えられる原因遺伝子を探索。深水抵抗性の指標には深水処理終了後のバイオマス量を用いた。

図2:深水条件下における温帯ジャポニカ165品種の地上部バイオマス量の頻度分布図2:深水条件下における温帯ジャポニカ165品種の地上部バイオマス量の頻度分布

(1)温帯ジャポニカ165品種における深水処理終了後のバイオマス量を比較したところ、深水によりほとんど枯死してしまった品種が存在した一方、わずかなストレスしか受けていない品種も存在。幅広い多様性がみられた(図2)。また、関連解析の結果、深水条件のバイオマス量は生育初期の草丈と茎数に強い関連性があることがわかった。

生育初期の草丈の高さは、植物体の完全な水没を回避し、正常なガス交換と代謝活動の維持に重要。茎数の多さは、水面上に葉を多く展開し、活発な光合成をおこなうために重要であると考えられる。草丈と茎数との相関関係は弱いことから、これら2つの性質は独立して向上できることが示唆された。

(2)生育初期における深水条件の草丈と茎数を制御するゲノム領域を明らかにするため、ゲノムワイド関連解析GWASを実施した。GWASは、品種間のゲノムの違いと草丈や茎数などの性質の違いとの関連を網羅的に解析する統計学的手法。その結果、草丈に関わる主要なゲノム領域を第3染色体上に、茎数に関わる領域を第4染色体上に特定した。これらのゲノム領域では、日本晴と異なる「変異型」のDNA配列を持つ品種で草丈が大きく、茎数が多くなることがわかった。

(3)深水条件の草丈および茎数に関わる第3、4染色体上のゲノム領域がどちらも変異型のDNA配列である品種は、どちらも日本晴と同じ「参照型」のDNA配列である品種に比べて、深水条件下のバイオマス量が高いことがわかった。このことから、これらゲノム領域を組み合わせることで、深水条件下でのイネの生育を高め、深水抵抗性を強化できることが示された。

同研究で特定されたイネの深水条件の草丈と茎数に関わる2つのゲノム領域を品種育成に利用することで、イネの深水抵抗性の向上が期待される。深水抵抗性の高い品種を用いて深水管理を行うイネ生産は、除草剤を減らした特別栽培や有機栽培といった持続的な農業において、雑草防除の省力化およびイネ収量性向上の双方に有用で、日本および世界の食料生産の増加、安定化に貢献することが考えられる。

同研究成果は11月25日、『Rice』誌に掲載された。

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