収穫時の低温が冷凍ブロッコリーの軟化に 食感に気温が左右 農研機構2023年12月21日
農研機構とニッスイは、気温が低い時期に収穫したブロッコリーほど、冷凍加工後に解凍した際の組織軟化が大きいことを発見した。解凍後の組織軟化は食感の低下を引き起こすため、気温の低い時期を避けて収穫することが冷凍ブロッコリーの食感の向上及び品質の安定化につながると考えられる。
ブロッコリーの最大応力と収穫時期の気温の関係
近年、冷凍野菜の需要は増え続けているが、野菜類は冷凍によって組織が軟化しやすく、品目によっては解凍後の食感の低下が問題となっている。一方で、同じ野菜でも品種や生育段階の違いによって、解凍後の食感などの品質が異なることが経験的に知られているが、その詳細なメカニズム・要因は明らかになっていない。冷凍加工後に軟化しにくい品種や栽培条件などが明らかになれば、冷凍野菜の高品質化につながる。
同研究では、冷凍野菜としての需要が多いブロッコリーについて、品種、収穫時のサイズ(花蕾の直径)および収穫時期の違いが冷凍による組織軟化に与える影響を調査。その結果、冷凍ブロッコリーの解凍後の軟化は、品種や収穫時のサイズよりも、収穫時期の気温に大きく影響されることが明らかになった。また、細胞と細胞を結びつける多糖類であるペクチンの組成を分析したところ、気温の低い時期に収穫した秋冬収穫ブロッコリーは気温の高い春収穫ブロッコリーと比べて水溶性ペクチンの割合が高く、細胞同士の結着が弱くなっていることが示唆された。
生鮮ブロッコリーの全ペクチン量に対する水溶性ペクチンの割合
以上のことから、比較的温暖な時期に収穫したブロッコリー原料は冷凍加工に適しており、組織が軟化しにくい冷凍用ブロッコリーを栽培する際には、収穫が厳冬期(目安として日平均10℃以下)と重ならないような栽培計画を組むことが重要と考えられる。同成果は、冷凍ブロッコリー用に気温を考慮した栽培体系の確立や、冷凍ブロッコリーの食感の向上及び品質の安定化に活用できる。
重要な記事
最新の記事
-
「地域と食を守る農政が筋」 国民民主党衆院・玉木雄一郎議員に聞く(2)2024年12月25日
-
加工原料乳生産者補給金 0.23円増の11.90円/kg 黒毛和種保証基準価格 1万円引き上げ 2025年度畜産物価格2024年12月25日
-
【小松泰信・地方の眼力】輸入米で輸入するもの2024年12月25日
-
農山漁村の関係人口増加めざし官民で共創 農水省2024年12月25日
-
2月19日に国際協同組合年キックオフイベント オンライン参加を募集 全国実行委員会2024年12月25日
-
中山間地域の農業維持にスマート農業 WEBミーティングで事例紹介 全農2024年12月25日
-
生乳の需給調整 全国的な取り組み促進 補助事業とのクロスコンプライアンス導入 農水省2024年12月25日
-
輸入米「争奪戦」過熱 SBS入札で7年ぶり完売 業務用で引き合い強く小売にも2024年12月25日
-
1位の北海道 前年比4.3%増の1兆3478億円 23年の都道府県別農業産出額 農水省2024年12月25日
-
農業総産出額 5.5%増加 9兆4991億円 農水省2024年12月25日
-
鳥インフル ポーランドからの家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年12月25日
-
第12回「食品産業もったいない大賞」AIとビッグデータ活用の食品ロス削減に農水大臣賞2024年12月25日
-
2月4日に新春の集い 袴田ひで子さん、むすびえ・湯浅誠理事長、伊那食品工業・塚越寛最高顧問が講演2024年12月25日
-
ふるさと納税サイトで「見える化」特集ページ「みえるらべる」全国へ拡大 農水省2024年12月25日
-
「農山漁村」経済・生活環境創生プロジェクト始動 農水省2024年12月25日
-
「JAヨリアイin東京2024」 「対話する協同組合が生み出すもの」を考える2024年12月25日
-
農薬出荷数量は3.3%減、農薬出荷金額は3.0%増 2024年農薬年度出荷実績 クロップライフジャパン2024年12月25日
-
【人事異動】東邦化学工業(2025年1月1日付)2024年12月25日
-
農・食の魅力を伝える「JAインスタコンテスト」グランプリは「JAふくしま未来とJA幕別町2024年12月25日
-
「NHK歳末たすけあい」へ寄付 JA全農2024年12月25日