農研機構出資ベンチャー「株式会社農研植物病院」設立 植物検疫検査業務で農産物輸出拡大へ2024年1月31日
農研機構の出資・支援を受けたベンチャー企業「株式会社農研植物病院」が1月9日に設立された。同社は、2024年度から輸出企業・種苗会社・登録検査機関に向けて輸出検疫検査技術開発・検査サービスを開始。ニーズが増大する植物検疫検査に対応し、農産物輸出拡大に貢献する。
農研植物病院の立ち上げメンバー
農研機構は、研究開発成果の社会実装を促進し農業・食品産業の競争力強化と収益力向上を進めるとともに、収益力向上の適正な対価の獲得により研究開発を持続的に行うシステムを構築するため、「農研機構発ベンチャー企業認定制度」を整備。厳格な審査の下、農研機構が開発した研究成果を活用するベンチャー企業(スタートアップ)に対する出資や支援を行っている。また、産業界から招いた新規事業の立ち上げに豊富な経験を持つ人材をスタートアップ管理役として配置し、農研機構職員によるスタートアップの育成にも取り組んでいる。
このほど、同制度による出資・支援を受けた農研機構発ベンチャー企業として、株式会社農研植物病院を設立。代表取締役(CEO)には、農研機構顧問で民間企業で新事業開発の実績を持つ上山健治氏が就任する。
農研植物病院は、輸出企業・種苗会社・登録検査機関に向けて輸出検疫検査技術開発・検査サービスを2024年度から開始。農林水産物・食品の輸出は年々増加傾向にあり、2030年の輸出額5兆円の政府目標に向け官民を挙げて輸出拡大に取り組む中、検査対応の強化のため2023年4月1日付で改正植物防疫法が施行され、輸出植物等の検査の一部を民間企業などの登録検査機関が実施できるようになった。
リアルタイムPCR 装置を用いた検査の様子
農研植物病院は、農研機構の植物病理学の専門家を取締役(CTO)や社員とし、高い研究開発力と技術力を活かし、検査手法の開発や、病原体濃度が低い検体の検査など技術的難易度が高く他機関が対応できない検査を中心に、顧客ニーズに対応した業務を行う。
農研植物病院は今後、計画的に体制を強化。輸出検疫技術開発・検査サービスのほか、将来的には、種苗会社等に向けた種子種苗等の国内流通向け検査サービス、農業法人等に向けた総合的病害虫対策コンサルティングサービス、病害虫防除技術等の教育サービス等に業務を拡大を予定している。
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