間伐によるスギ林の蒸散量 減少は数年で元に戻ると判明 森林総合研究所2024年3月13日
森林総合研究所、国際農林水産業研究センター、秋田県林業研究研修センター、秋田県農林水産部、秋田県林業労働対策基金、米国デラウェア大学の研究グループは、スギ林を38%間伐した直後に蒸散量は71%に減少するが、数年後には元に戻ることを明らかにした。
これまで、国内では間伐直後のデータに基づいて間伐による蒸散への影響が議論されてきたが、同成果は継続的にデータを確認する必要性を明らかにするとともに、森林の有する多面的機能と森林管理の適切なバランスの実現につながる。
樹木の蒸散は、根系で吸収された水分が幹の中を上昇し(樹液流)、生じる現象。このため、樹液流の速さ(樹液流速)と樹液が流れている辺材部の面積を把握することで、蒸散量を評価できる。これまでに、間伐直後のスギ林の蒸散量の減少が確認されており、その要因は間伐による個体数減少に伴うスギ林の辺材面積の減少と報告されてきた。しかし、蒸散量の減少がどの程度継続するのかについては不明のだった。
そこで、間伐前2年間、間伐後3年間にわたってスギ林の蒸散量を計測したところ、間伐1年目には71%まで減少した蒸散量が間伐から2~3年で間伐前の状態に回復することが明らかになった。また、蒸散量の回復はスギ林の辺材面積の増加によるものではなく、カギとなるのはスギ林の樹液流速の増加、特に辺材の深い部位を流れる樹液流速が顕著に増加したことだった。
間伐が蒸散量に及ぼす影響を正確に把握するには、間伐後の少なくとも数年間について、辺材の深い部位を含めた計測を実施することが重要となる。
同研究成果は、2023年12月5日に『Science of The Total Environment』誌でオンライン公開された。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(139)-改正食料・農業・農村基本法(25)-2025年4月26日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(56)【防除学習帖】第295回2025年4月26日
-
農薬の正しい使い方(29)【今さら聞けない営農情報】第295回2025年4月26日
-
1人当たり精米消費、3月は微減 家庭内消費堅調も「中食」減少 米穀機構2025年4月25日
-
【JA人事】JAサロマ(北海道)櫛部文治組合長を再任(4月18日)2025年4月25日
-
静岡県菊川市でビオトープ「クミカ レフュジア菊川」の落成式開く 里山再生で希少動植物の"待避地"へ クミアイ化学工業2025年4月25日
-
25年産コシヒカリ 概算金で最低保証「2.2万円」 JA福井県2025年4月25日
-
(432)認証制度のとらえ方【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年4月25日
-
【'25新組合長に聞く】JA新ひたち野(茨城) 矢口博之氏(4/19就任) 「小美玉の恵み」ブランドに2025年4月25日
-
水稲栽培で鶏ふん堆肥を有効活用 4年前を迎えた広島大学との共同研究 JA全農ひろしま2025年4月25日
-
長野県産食材にこだわった焼肉店「和牛焼肉信州そだち」新規オープン JA全農2025年4月25日
-
【JA人事】JA中札内村(北海道)島次良己組合長を再任(4月10日)2025年4月25日
-
【JA人事】JA摩周湖(北海道)川口覚組合長を再任(4月24日)2025年4月25日
-
第41回「JA共済マルシェ」を開催 全国各地の旬の農産物・加工品が大集合、「農福連携」応援も JA共済連2025年4月25日
-
【JA人事】JAようてい(北海道)金子辰四郎組合長を新任(4月11日)2025年4月25日
-
宇城市の子どもたちへ地元農産物を贈呈 JA熊本うき園芸部会が学校給食に提供2025年4月25日
-
静岡の茶産業拡大へ 抹茶栽培農地における営農型太陽光発電所を共同開発 JA三井リース2025年4月25日
-
静岡・三島で町ぐるみの「きのこマルシェ」長谷川きのこ園で開催 JAふじ伊豆2025年4月25日
-
システム障害が暫定復旧 農林中金2025年4月25日
-
神奈川県のスタートアップAgnaviへ出資 AgVenture Lab2025年4月25日