トルコギキョウ 花の香り成分を明らかに 良い香りの品種育成へ期待 農研機構2024年4月22日
農研機構は、トルコギキョウの花の香りの成分を解析し、ハーブのような香りの成分、甘い香りの成分など多様な成分を発見した。同成果は、香りがないとされるトルコギキョウの花の香り成分についての世界で初めての報告。香りの良いトルコギキョウの品種育成のための基礎的な知見となるとともに、香りをトルコギキョウの新たな魅力として提示する。
図1:トルコギキョウ「ニューリネーションホワイト」
バラに代表されるように、消費者にとって切り花の大きな魅力の一つに香りの良さが挙げられる。国産花き生産流通強化推進協議会による調査「花、植物に関する消費行動調査(2021年度)」でも、切り花の香りは消費者が花の購入時に重視するポイントの一つとなっている。
トルコギキョウは、多様な花色、花形や日持ちの良さが魅力で、国内の主要花き品目。また、日本で育成された品種種子の世界シェアが高く、日本だけでなく世界の人々を魅了する人気の切り花品目となる。一方、トルコギキョウの香りはごく弱く、ほとんどの品種は香りがない。今後、香りの良いトルコギキョウの品種が育成されれば、商品価値はより高まり、国内外においてさらに魅力的な品目となることが期待される。
トルコギキョウには、弱いながらも甘い香りを持つ品種が稀に存在。期待されている香りの良いトルコギキョウを育成するには、まずトルコギキョウの持つ甘い香りの成分を明らかにし、交配によってその成分を多く発散する品種を選抜していく必要がある。そこで農研機構は、弱いながらも甘い香りを持つトルコギキョウ「ニューリネーションホワイト」(図1)の花の香りの成分を分析した結果、36種類の化合物が検出。主要成分はハーブのような香りを持つα-セリネンなどのセスキテルペンで、甘いスパイシーな香りを持つ成分としてオイゲノールなどの芳香族化合物が同定された。
図2:トルコギキョウ「ニューリネーションホワイト」の揮発成分の組成
「ニューリネーションホワイト」の花の甘い香りは、オイゲノールなどの芳香族化合物によるものであることが判明。オイゲノールはバラやカーネーションの香りにも含まれており、香りの良いトルコギキョウの育成の指標となる。オイゲノールを多く含む甘い香りを持つ品種が育成されれば、甘い香りのトルコギキョウとして、新たな魅力を持つ切り花となることが期待できる。
同成果は、科学雑誌『The Horticulture Journal』(3月12日)に発表された。
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