【注意報】果樹全般にカメムシ類 県内全域で多発のおそれ 大阪府2024年5月17日
大阪府環境農林水産部は、うめ、もも、なし、かき、ぶどう、みかんなど果樹全般に果樹カメムシ類が県内全域で多発のおそれがあるとして、5月16日に令和6年度病害虫発生予察注意報第1号を発令した。
図:チャバネアオカメムシのフェロモントラップ誘殺頭数
大阪府環境農林水産部によると、今年度の羽曳野市におけるチャバネアオカメムシのフェロモントラップ誘殺頭数が、4月下旬より平年値を大きく上回り、5月上旬には平年値のおよそ5.8倍となった(図)。また、今年度の5月1日~7日におけるチャバネアオカメムシの予察灯誘殺頭数が、岸和田市の予察灯調査地点で平年値のおよそ14倍と大きく上回った。
大阪管区気象台が5月9日に発表した近畿地方1か月予報では、向こう1か月の気温は高い確率が80%。果樹カメムシ類の果樹園での発生に注意する。
果樹を加害する果樹カメムシ類には、チャバネアオカメムシ、ツヤアオカメムシ、クサギカメムシ等がある。大阪府内で確認される果樹カメムシ類の大半はチャバネアオカメムシとなる。
チャバネアオカメムシ、羽曳野市の調査地点で誘殺された果樹カメムシ類、
うめを加害する様子(写真提供:大阪府)
果樹カメムシ類の主なえさは、夏期のスギやヒノキ等の球果。果樹園でも産卵は行われるが、成虫までは発育しない。スギ等の球果が多い年は夏に個体数が増え、えさが不足すると秋に果樹園に飛来して果実を吸汁し、落果や奇形果等の被害が増える。また、越冬密度が高いと、春から夏にかけて果樹園に飛来して果実を吸汁し、落果や奇形果等の被害をもたらす。
ももの被害。果実表面がデコボコになる。丸印が被害箇所(提供:大阪府植物防疫協会)
5~6月の飛来では、うめやももなどの核果類や、なし等が被害を受けやすい。多発するとぶどう、かんきつ類にも被害が及ぶことがある。袋かけをすると被害を軽減できるが、果実の肥大に伴って果実袋と果実が密着すると、果実袋の上から吸汁されることもある。また、果樹カメムシ類の果樹園等への飛来は日没後の2~3時間が中心となる。
うめの被害。吸汁痕からヤニが出ている様子(写真提供:大阪府)
同所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇果樹カメムシ類の発生量や時期には地域や園地で差があるため、カメムシ類の活動が活発になる夕方に園内を見回り、飛来を確認したら、速やかに薬剤散布を行う。薬剤散布後も園内を確認し、再度飛来を確認した場合は、追加の散布を行う。薬剤散布に当たっては、収穫前日数や使用回数に十分注意する。
〇果樹カメムシ類に有効な薬剤は、有機リン系薬剤、ピレスロイド系薬剤、ネオニコチノイド系薬剤など。多発時には、残効性が比較的高いピレスロイド系薬剤、ネオニコチノイド系薬剤を中心に散布する。
〇ピレスロイド系薬剤は果樹カメムシ類への効果は高いが、天敵類への影響も大きく、連用するとハダニ類やカイガラムシ類の多発を招くことがあるため、なるべく連用を避ける。
〇薬剤散布は夕方か早朝に行うと効果的。
〇チャバネアオカメムシに対しては、黄色灯は忌避効果があるため、設置している園地では早急に点灯する。ただしチャバネアオカメムシ以外には効果がないため、光源の近くや園内でクサギカメムシやツヤアオカメムシを確認した場合は薬剤散布を行う。
〇果樹園全体に目合い4mm以下のネットを被覆することで侵入を阻止する。
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