持続可能な振動農業技術に関する総説を発表 害虫防除と栽培技術の確立へ2024年6月12日
九州大学大学院理学研究院、森林総合研究所、宮城県農業・園芸総合研究所、東北特殊鋼、電気通信大学大学院情報理工学研究科、琉球大学農学部、農研機構の7者からなる研究チームは6月11日、振動を用いた害虫防除と栽培技術の確立を目指し、持続可能な振動農業技術に関する総説を発表した。
トマトの害虫タバココナジラミ
害虫の薬剤抵抗性の発達、環境に与える負荷、有機栽培や減農薬作物のニーズの高まりなどから、化学農薬のみに頼らない新たな害虫防除技術の確立が急務となっている。そこで同研究チームは、昆虫が振動や音に対する感覚を用いたコミュニケーションを繁殖や社会性維持などに利用していることに着目。人為的な刺激として振動を伝えることで害虫の制御が可能であることを明らかにしてきた。
具体的にはトマト、きのこなどを対象に、振動を用いて世界的な害虫として知られるコナジラミ類やキノコバエ類の密度制御が可能であること、加えて対象作物の増収効果が認められることを明らかにしている。総説では、これらの研究成果について説明するとともに、振動に関する科学的知見を総合防除(IPM1)へ生かすための展望についても言及した。
振動発生装置「トマタブル」(丸印)を 設置したトマト栽培施設(未来彩園・宮城県)
同研究チームは、国が策定した「みどりの食料システム戦略」の実現に向け、オープンイノベーション研究・実用化推進事業において、振動を活用した物理的防除技術の農業生産現場導入を目指した研究に取り組んでいる。今後、振動農業技術の実証と改良を続け、2025年度以降にトマト栽培用の振動発生装置「トマタブル」の市販化を進める予定。
同研究成果は5月10日、オランダの学術雑誌『Entomologia Experimentalis et Applicata』にオンライン掲載された。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(171)食料・農業・農村基本計画(13)輸出国から我が国への輸送の状況2025年12月6日 -
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(88)ジチオカーバメート(求電子剤)【防除学習帖】第327回2025年12月6日 -
農薬の正しい使い方(61)変温動物の防除法と上手な農薬の使い方【今さら聞けない営農情報】第327回2025年12月6日 -
スーパーの米価 前週から23円上昇し5kg4335円 過去最高値を更新2025年12月5日 -
支え合い「協同の道」拓く JA愛知東組合長 海野文貴氏(2) 【未来視座 JAトップインタビュー】2025年12月5日 -
【浜矩子が斬る! 日本経済】『タコ市理論』は経済政策使命の決定的違反行為だ 積極財政で弱者犠牲に2025年12月5日 -
食を日本の稼ぎの柱に 農水省が戦略本部を設置2025年12月5日 -
JAの販売品販売高7.7%増加 2024年度総合JA決算概況2025年12月5日 -
ポテトチップからも残留農薬 輸入米に続き検出 国会で追及2025年12月5日 -
生産者補給金 再生産と将来投資が可能な単価水準を JAグループ畜酪要請2025年12月5日 -
第3回「食料・農林水産分野におけるGX加速化研究会」開催 農水省2025年12月5日 -
新感覚&新食感スイーツ「長崎カステリーヌ」農水省「FOODSHIFTセレクション」でW入賞2025年12月5日 -
(464)「ローカル」・「ローカリティ」・「テロワール」【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年12月5日 -
【スマート農業の風】(20)スマート農業を活用したJAのデジタル管理2025年12月5日 -
「もっともっとノウフク2025」応援フェア 農福連携食材を日替わりで提供 JA共済連2025年12月5日 -
若手職員が"将来のあるべき姿"を検討、経営層と意見交換 JA共済連2025年12月5日 -
IT資産の処分業務支援サービス「CIRCULIT」開始 JA三井リースアセット2025年12月5日 -
「KSAS Marketplace」に人材インフラ企業「YUIME」の特定技能人材派遣サービスのコンテンツを掲載 クボタ2025年12月5日 -
剪定界の第一人者マルコ・シモニット氏が来日「第5回JVAシンポジウム特別講演」開催2025年12月5日 -
野菜との出会いや季節の移ろいを楽しむ「食生活に寄り添うアプリ」リリース 坂ノ途中2025年12月5日


































