農地土壌に含まれるPFASを分析 暫定マニュアルを公開 農研機構2024年7月4日
農研機構は、これまで効率よく安定的に分析するのが難しかった土壌中PFASを分析できるよう、多種のPFASを抽出・検出するための暫定マニュアルを作成し、農研機構のホームページで公開した。
土壌中のPFAS一斉分析暫定マニュアルの構成
多種多様な有機フッ素化合物のうち、PFAS(ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物の総称)の影響が懸念されている。
内閣府食品安全委員会により、PFASのうちPFOAとPFOSの2種について健康影響に関する指標値(それぞれ体重1キログラム当たり1日20ナノグラム)が設定されたが、農業環境におけるPFASの実態は未解明。農業環境中のPFAS濃度を測定する方法を確立するため、農研機構は、農林水産省の委託プロジェクト研究課題「農業環境(水、土壌等)からの農産物へのPFOA及びPFOS等のPFASの移行(蓄積動態)に関する基礎研究」において、コンソーシアム構成員(産業技術総合研究所、大阪府立環境農林水産総合研究所)とともに、農地土壌中の多種のPFASを抽出・検出できる手法を開発。暫定版のマニュアルとしてまとめ、農研機構のホームページで公開した。
農業環境中の多種のPFASを一斉に分析する手法開発は緒に就いたばかり。「暫定マニュアル」として公表することで、土壌中のPFAS分析法として多くの分析者に活用され、その分析者からのフィードバックやデータを蓄積し、今後より多くの土壌の種類に対応できる信頼性・汎用性の高いマニュアルへと改良する。これが広く活用されることにより、農業環境におけるPFASの実態の解明に繋がると期待される。
◎暫定マニュアル特徴
・代表的なPFASであるPFOA、PFOS、PFHxSを含めた多種PFASの一斉分析が可能
飲料水や環境水における海外の評価に含まれるPFASの中から選定した30種について、土壌中の濃度を一斉に分析できる。
・多数の試料分析に対応できる簡便化した工程
分析にかかる時間と資源を削減できるよう、不溶物を遠心分離で除去し、溶液をデカンテーションで移し替える方法とした。
・分析の手順を分かりやすくビジュアルに説明
土壌試料採取、前処理などを含む試料調製から含量測定までの工程についてイラストを交え分かりやすく示した。
・条件設定の明示によりすぐに分析可能
液体クロマトグラフ質量分析装置LCMS/MSメーカーの協力を得て、使用機種に対応した分析パラメータを収載。
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