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【特殊報】トマトキバガ 県内で初めて発生を確認 静岡県2024年7月4日

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静岡県病害虫防除所は、トマトキバガの発生を県内で初めて確認し、7月4日に令和6年度病害虫発生予察特殊報第1号を発令した。

図:誘殺されたチョウ目成虫(提供:静岡県病害虫防除所)図:誘殺されたチョウ目成虫(提供:静岡県病害虫防除所)

静岡県病害虫防除所によると、6月に静岡県西部地域のばれいしょほ場周縁部に設置したトマトキバガ侵入警戒用フェロモントラップにチョウ目成虫が複数誘殺された(図)。

静岡県病害虫防除所において形態観察を行ったところ、県内では未確認であったトマトキバガであることが疑われた。これら疑義虫の同定を農林水産省名古屋植物防疫所清水支所に依頼した結果、トマトキバガであることが判明した。

県内では同種のフェロモントラップを3地点に設置しているが、他の2地点での誘殺は確認されていない。また、現在までに、県内での農作物への寄生及び被害は確認されていない。

トマトキバガの原産地は南米で、ヨーロッパ、アフリカ、中米、中東、アジアに分布を拡大している。国内では、2021年に熊本県で初めて確認され、沖縄県から北海道までの本県を含む計40道府県で確認されている。

主な寄主植物はトマト、ばれいしょ、なす、ピーマンなどのナス科植物で、マメ科のいんげんまめも寄主植物として報告されている。また、イヌホウズキなどのナス科雑草にも寄生する。

成虫は、翅を閉じた状態で体長約5ミリ(開張約10ミリ)で、前翅は灰褐色地に黒色斑が散在し、後翅は一様に淡黒褐色。幼虫は、終齢で体長約8ミリ、体色は淡緑~淡赤白色で、前胸の背面後方に細い黒色横帯がある。

1年に複数の世代が発生し、繁殖力が高い。卵~成虫までの期間は24~38日程度で、気温が低い時期はさらに延びる。成虫は夜行性で、日中は葉の間に隠れていることが多い。雌は一生のうちに平均約260個の卵を寄主植物の葉裏などに産み付ける。

国内では、熊本県(令和3年)、宮崎県(令和3年)、北海道(令和5年)、および岐阜県(令和6年)において、トマトでの食害が確認されている。なお、現在までに、その他の作物における国内での食害は確認されていない。

トマトでは、幼虫が茎葉に潜り込み、表面を残して食害するため、食害部は薄皮状となり白~褐変した外観となる。また、幼虫が果実にも食入し、せん孔痕が形成されるとともに、食害部に腐敗が生じ、品質が著しく低下する。また、海外のばれいしょでは、幼虫が地上部を食害し、まれに塊茎(いも)にも食入するとされている。

同防除所では次のとおり防除対策を呼びかけている。

〇施設栽培では、開口部に防虫ネットを設置し、侵入を防止する。

〇ほ場内をよく観察し、早期発見に努める。同種と疑われる虫を見つけた場合は、速やかに最寄りの農林事務所または病害虫防除所に連絡する。

〇トマト及びミニトマトでは、同種に登録のある薬剤を使用して防除する。なお、7月4日時点で、これら作物を除き本種に登録のある農薬はない。薬剤散布にあたっては、最新の農薬登録情報(農林水産省「農薬登録情報提供システム」を確認する。なお、薬剤抵抗性の発達を防ぐため、系統(IRACコード)の異なる薬剤をローテーション散布する。

〇被害植物をほ場内に放置せず、速やかに埋設するか袋に密閉し、同種をすべて死滅させるなど、適切に処分する。

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