【注意報】早期水稲に斑点米カメムシ類 栽培地域で多発のおそれ 熊本県2024年7月22日
熊本県病害虫防除所は、早期水稲に斑点米カメムシ類が県内全域で多発のおそれがあるとして、6月25日に令和6年度病害虫発生予察注意報第6号を発令した。
図:現地ほ場でのイネカメムシの発生(6月17日撮影)(提供:熊本県病害虫防除所)
熊本県病害虫防除所によると、天草地域における早期水稲の見取り調査(6月17日実施)では、生育ステージが出穂前(幼穂形成終期~穂ばらみ期)にも関わらず、83.3%のほ場(5筆/6筆)で斑点米カメムシ類が確認された。また、平均寄生頭数は2.2頭/25株と出穂後の7月中旬調査の平年値0.3頭/25株よりも多かった。種構成としては、クモヘリカメムシ、イネカメムシ、ホソハリカメムシの順で多かった。
6月18日に実施した早期水稲本田内のすくい取り調査では、捕獲ほ場率が天草地域で54.5%(6筆/11筆)、その他の地域では50.0%(6筆/12筆)で、クモヘリカメムシやミナミアオカメムシ等の斑点米の産出能力が高い種が多く確認された。また、天草市河浦町の調査では、水田内では斑点米カメムシ類は捕獲されなかったが、畦畔(植生:イネ科雑草)で、多くの斑点米カメムシ類が捕獲された。
早期水稲栽培地域においては、6月下旬~7月上旬に出穂期となるため、斑点米カメムシ類による被害が予想される。
福岡管区気象台が6月20日に発表した九州北部1か月予報では、向こう1か月の気温は平年より高い予想で、同種の発生に好適な条件となる。
同所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇畦畔など周辺雑草の除草は、本田への飛来を助長するため水稲出穂後には行わない。
〇防除適期は、穂揃い期とその7~10日後(乳熟期)。2回の防除後に生存虫や新たな侵入が認められる場合は、穂揃い期の14~20日後(糊熟期)に追加防除を行う。地域で一斉防除を行うと効果が高い。
〇イネカメムシは他の斑点米カメムシ類と異なり、出穂期から登熟初期に籾を加害するため、同種の発生が多い場合は、穂揃い期以降ではなく出穂期に防除を行う(図)。
〇カメムシの種類によって薬剤の効果が異なるため、発生している種類を確認して、効果の高い薬剤を選定する。ピレスロイド系(IRACコード:3A)はミナミアオカメムシに対して効果が劣る。また、ネオニコチノイド系(IRACコード:4A)はクモヘリカメムシに対して効果が劣る。
〇薬剤の使用にあたっては、使用回数、濃度、使用量、使用時期を遵守するとともに、周辺作物や有用昆虫・魚介類等の環境に影響がないよう農薬飛散(ドリフト)防止に努める。付近にミツバチの巣箱が設置してある園では、事前にその管理者に連絡するなど、農薬による危害防止に努める。
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