パーム古木 デンプン蓄積メカニズムを解明 持続可能なパーム産業の実現へ 国際農研2024年8月23日
国際農研とマレーシア理科大学(USM)の共同研究グループは、オイルパームの古木に含まれるデンプンと糖の量が、パームの生育状況や農園の環境条件に大きく左右されることを明らかにした
オイルパームは、寿命を迎えると伐採され農園に放置される。
その放置された古木は温室効果ガスの発生源となるだけでなく、病害菌を増殖させ、新しい苗木の生育阻害の原因となる。
一方、パーム古木にはデンプンと糖が含まれており、バイオエタノールやバイオプラスチックなどの持続可能な資源として有望視されている。
同研究では、トランスクリプトーム解析を用いて、パーム幹中のデンプン含有量の変動要因を解明。
その結果、パーム幹中に、病害感染時に見られる感染特異的タンパク質(PRタンパク質)が過剰に生成されると、デンプンの合成や蓄積が妨げられることを明らかにした。
また、パームの生育状態や農園の環境が悪化すると、パーム古木の植物免疫システムが活性化し、デンプン蓄積が抑制されることが示唆された。
同研究成果により、農園環境の悪化がパーム古木中のデンプン含有量に及ぼす影響を明らかにし、デンプン蓄積を促進するための栽培管理技術の開発に繋がる。
これにより、パーム古木を農園から効率的に回収し、古木中のデンプンを高付加価値製品の原料として利用することが可能に。
結果として、これまで廃棄物とされていたパーム古木が有用な資源として活用されることで、温室効果ガスの発生を抑制し、農園の健康状態を改善できる。
この循環型アプローチは、持続可能なパーム油産業の実現に大きく貢献すると期待される。
同研究成果は6月7日、『Industrial Crops and Products』電子版(日本時間2024年)に掲載された。
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