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沖縄向けサツマイモ基腐病抵抗性新品種「ニライむらさき」開発 農研機構2024年9月9日

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農研機構は、サツマイモ基腐病に強い抵抗性を有して食味が良く、島尻マージ土壌での栽培に適した紫かんしょ(紅いも)の新品種「ニライむらさき」(系統名:糸系22)を育成した。先に開発したジャーガル土壌 向けの「おぼろ紅」とあわせて沖縄県内の産地全域を基腐病抵抗性品種でカバーできるようになる。

沖縄向けサツマイモ基腐病抵抗性新品種「ニライむらさき」開発 農研機構-1.jpg沖縄県では、「紅いも」と称される紫かんしょの生産が盛ん。紅芋タルトなどの加工土産品は、インバウンド消費の拡大に貢献しているが、沖縄県で生産される紅いもの8 割を占める「ちゅら恋紅」は、基腐病に対する抵抗性が十分でなく、基腐病抵抗性品種の開発が強く求められていた。

農研機構は、2023年に沖縄向けでは初の基腐病抵抗性品種「おぼろ紅」を育成。「おぼろ紅」は多収で基腐病に強く、生産現場での普及が始まっているが、島尻マージ土壌で栽培した場合のアントシアニン色価がジャーガル土壌と比較して低い傾向にある。そのため、沖縄県内かんしょ産地に多く分布する島尻マージ土壌での栽培に適した基腐病抵抗性品種の育成が喫緊の課題となっていた。

この課題に対応するため、農研機構は、沖縄向けの基腐病抵抗性新品種の第二弾となる、島尻マージ土壌での栽培に適した「ニライむらさき」を育成した。「ニライむらさき」はアントシアニン色価が「おぼろ紅」よりも高く、土壌型による変化も小さく安定。実需者によるペーストやタルトの加工適性評価は「ちゅら恋紅」と同程度だが、「ニライむらさき」は蒸しいもの食味に優れており、タルト等へ加工した際に製品の風味や食味の向上が期待される。

また、焼き芋などの青果用としても有望な品種。さらに、「ニライむらさき」の春植え慣行栽培における収量は、試験を行った33年間の平均値で「ちゅら恋紅」にやや劣るものの、収量の年次間差は小さく安定している。また、基腐病抵抗性による腐敗いもの発生が少ないため、健全いもの安定生産が可能。

一方、土壌型によって収量性に違いがあり、ジャーガル土壌より島尻マージ土壌での収量性が高い傾向にある。ジャーガル土壌に適する「おぼろ紅」に加え、島尻マージ土壌に適する「ニライむらさき」が育成されたことで、沖縄県内かんしょ産地の主要土壌型に適した基腐病抵抗性品種が揃い、県産紅いもの安定生産に寄与することが期待される。

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